2014年10月31日 17:31 弁護士ドットコム
大学院生の男性から依頼を受けた探偵業者が、アルバイトを使って、男性の元交際相手の女性を待ち伏せしたとして「ストーカー規制法違反」の疑いで書類送検された。
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報道によると、東京都内の探偵業者2人が今年6月、アルバイトに指示し、川崎市の路上で女性を待ち伏せさせた疑い。また、大学院生から直接依頼を受けた大阪府の探偵業者は、東京の業者に引き継ぎ、待ち伏せをほう助した疑いが持たれている。
探偵業者の書類送検の前に、大学院生自身がストーカー規制法に違反した疑いで逮捕されている(その後、処分保留で釈放)。この大学院生は昨年11月、女性に対して「復縁してくれなければ死ぬ」などと迫り、警察から口頭注意されたうえ、女性と連絡をとらないという上申書を書いていた。
警察は、探偵業者の3人がこうした事情を知りながら依頼を受けたとして、ストーカー行為の共謀やほう助が成立すると判断したという。
一般的に探偵といえば、浮気など調査のために、尾行や見張りをしているイメージがある。もし、そうしたことが「ストーカー行為」にあたるなら、そもそも探偵の仕事自体、成り立たないのではないだろうか。尾行や見張りが「ストーカー行為」となるのは、どんなときなのだろうか。長森亨弁護士に聞いた。
「ストーカー規制法では、『つきまとい等』として、8種類の類型が定義されています。
具体的には、相手につきまとったり、見張ったり、連続して電子メールを送りつけることなどです。また、面会や交際など相手に義務のない行為を要求することも、禁止されています。
探偵による尾行や見張りは、形式的にはこの類型に該当しえます」
長森弁護士はこう語る。だが、多くの探偵業者が普通に営業していることを考えれば、彼らの尾行や見張りがストーカー行為とされているわけではなさそうだ。何がポイントなのだろうか?
「『ストーカー規制法』で禁止されている『つきまとい等』にあたるかどうかは、その行為の『目的』がどんなものかが、大きなポイントとなっています。
この法律で規制されているのは、あくまで『特定の人に対する恋愛感情などを充足する目的』や『そうした感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的』で行われた、『つきまとい等』の行為です」
ということは、どうなるのか。
「通常なら、探偵が仕事として行う調査活動は、特定の人に対する恋愛などの感情を満足させる目的やそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を満足させる目的で行われるわけではありません。したがって、一般的な調査活動は、ストーカー規制法違反に当たらないでしょう。
今回のケースは、依頼主の男性のストーカー行為に協力する意図があったと警察に判断された、ごく例外的な事例ではないかと思います」
長森弁護士はこのように指摘していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
長森 亨(ながもり・とおる)弁護士
企業法務、一般民事事件のほか、離婚、相続、成年後見など家事事件にも取り組む。日弁連民事裁判手続に関する委員会、同家事法制委員会委員。主な著作に「ストーカー・DVの問題Q&A」「離婚と子どもの問題Q&A」(中央経済・共著)。
事務所名:馬場・澤田法律事務所
事務所URL:http://www.babasawada.com/