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9度のWRC王者セバスチャン・ローブ、WTCCで鈴鹿に挑戦「表彰台に立てたのはハッピーだった」

2014年10月27日 21:00  AUTOSPORT web

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WTCCドライバーとして鈴鹿に挑んだセバスチャン・ローブ
26日、決勝レース1/2が鈴鹿サーキットで開催されたWTCC世界ツーリングカー選手権日本ラウンド。このレースで、最も人気と注目を集めていたのが、9度のWRC世界ラリー選手権王者、セバスチャン・ローブだったかもしれない。そんなローブは、レース1で3位表彰台を獲得。「また表彰台に立てたのはハッピーだった」と語った。

 前人未踏のWRCでの9連覇という実績を引っさげ、2013年から本格的にサーキットレースへの転向を始めたセバスチャン・ローブ。昨年はFIA-GTでマクラーレンMP4-12C GT3を駆り経験を積みながらシトロエンC-エリーゼWTCCの開発を進め、今季はいよいよWTCCにフル参戦を開始した。

 そんなローブにとって鈴鹿サーキットでのレースはもちろん初めて。ローブの走りを見ようと、シトロエンのウェアに身を包み、WRC時代のC4やDS3のミニカーを持参しサインをもらおうというファンが鈴鹿には数多く訪れた。ではレーシングドライバーの多くが称賛し、攻略に苦労する鈴鹿を走って、ローブの感想はどんなものだったのだろうか?

「すごく難しいサーキットだけど、エンジョイできているよ。もっと速いペースで走れれば良かったけれど、接戦の予選を仲間たちと楽しんでいる。ベストなサーキットのひとつだ」とローブは予選後に語った。

 とは言え、その走りは外側から見ていると、とても鈴鹿を走るのが初めてとは思えないようなアグレッシブなものだった。Q2ではアタックラップの130Rで前を走っていたマシンを避けようとコースアウトし、アタックをやり直す羽目になったものの、シングルカーアタックの予選Q3では、極めて高い次元でバランスさせながらコーナーをひとつひとつクリア。僅差でホセ-マリア・ロペス、イバン・ミューラーのふたりに敗れはしたものの、3番手を奪った。

「Q3にはギリギリで進出することができた。Q2で前のスリップを使おうと思ったんだけど、メディ・ベナーニがミスをしてしまったために、彼を避けようとしてコースアウトし、タイヤを壊してしまったんだ。だから、ピットに戻ってタイヤを替えなければならなかった」とローブ。

「Q3のラップは良かったと思うが、最後のシケインのブレーキングを何メートルか遅らせすぎてしまった。予選ではちょっとしたミスが大きな差に繋がる。そこで失ったわずかな差で、ポールポジションを獲ることができなかった」

 迎えた26日の決勝レース。ローブはスタートで「最低のスタートだった」という痛恨のミスを喫してしまい、5番手までドロップしてしまう。前を行く若手ふたりのシボレーRMLクルーズをかわさなければ、表彰台圏内には戻れない。ローブにとっては自身が語るとおり、レース中のバトルをいかに勝ち抜いて行くかが課題。ある意味ファンとしては、楽しみなシチュエーションとなった。

「そこからどういう風にリカバリーしていこうがずっと頑張っていたが、(トム)チルトンの後ろでチャンスがないかとずっと狙っていた。WTCCのクルマは前のクルマに近づきすぎるとフロントのグリップを失ってしまうので、うまくオーバーテイクできないんだ。だから横に並んでみたり、いろいろと戦略を考えていた」

 チャンスが訪れたのは、チームメイトのイバン・ミューラーがトラブルを抱え後退し、4番手に浮上した残り2周。3番手トム・チルトンが2番手ウーゴ・バレンテのインを突くと、バレンテは続く130Rでややコースアウト。その間にローブが3番手をバレンテから奪っていった。

「残り2周になってようやくチャンスが来て、3位を得ることができた。また表彰台に立てたのはハッピーだったね」とローブはレース1を振り返った。続くレース2では、シトロエン同士の争いの中で7位フィニッシュ。イベント等に出席したりと、多忙な日本での週末を終えた。

 ローブのWTCC挑戦はまだ1年目だ。来年はタイトルを争う存在となって日本に戻ってくるのだろうか……? “天才”の挑戦からはまだまだ目が離せない。