いよいよ10月24日~26日に、WTCC世界ツーリングカー選手権の日本ラウンドが鈴鹿サーキットを舞台に開催される。ワークスのカストロール・ホンダWTCチーム、ゼングー・モータースポーツ、プロチーム・レーシングと4台が参戦するホンダ・シビックWTCC勢にとっては、ホンダの母国鈴鹿での優勝を狙う戦いとなる。
今季WTCCではレギュレーションが変更となり、シビックWTCCも大幅にモディファイされ、ワイドボディに変更。しかし、昨年から綿密に開発を行い2014年から参戦を開始したシトロエン勢を前に、ホンダ勢は苦戦を強いられてきた。
しかし、終盤戦に向け調子を上げてきたシビックWTCCは、第10戦上海ラウンドでメディ・ベナーニ(プロチーム・レーシング)が優勝。ティアゴ・モンテイロ(カストロール・ホンダWTCチーム)が2位を獲得し、その勢いを保ったまま母国鈴鹿に乗り込む。
モロッコ人初の優勝を飾り、一度帰国した際にはモロッコのラバト空港で熱烈な歓迎とメディアの注目を集めたベナーニは「もちろん、これまでのキャリアの中で最高の出来事だった。シビックの今季初勝利だったので、喜びは格別だよ」と振り返った。
「北京ではシビックWTCCが大幅に良くなったのを感じた。最新のアップデートが優勝の要因のひとつとなったのはたしかだよ。僕のキャリアの中で、上海でのファイナルラップが一番大変だったけど、同時に一番すばらしいラップでもあった」
もちろん、カストロール・ホンダWTCチームのモンテイロ、ガブリエル・タルキーニのふたりにとっても、鈴鹿は最も重要視するレースだ。
「中国での好結果により、我々が大きく成長していることが証明された。今後のレースに大きく期待が持てるし、自分も楽観的になっている」とタルキーニ。モンテイロも「上海ではレース1のあとにいくつか変更した部分があり、それによってかなり良くなった。2位に入ったのは非常に意味のあることで、我々がこれだけ強くなれたことはすばらしいことだよ。残りのレースに向けて、大いに自信が高まっている」という。
「鈴鹿はスパと似ていると言えば、何が我々を待っているかよく分かると思う。世界で最も素晴らしいサーキットのひとつだし、ドライバーの力量しだいで違いを生み出せる。そしてファンはいつも熱狂的なんだ」
また、昨年のWTCC鈴鹿で優勝を飾ったノルベルト・ミケリス(ゼングー)も、「ホンダのホームコースで優勝できるなんて、夢のようだった。あの日以来、鈴鹿をハンガロリンクに続く自分の第二のホームコースだと思っている」と鈴鹿に戻るのを楽しみにしているという。
迎える日本ラウンドでは、ホンダ・シビックWTCCは直近3ラウンドの結果により、ウエイトハンデが10kg加算され、シボレーRMLクルーズTC1と同じウエイトとなる。しかし、ホンダの堀内大資WTCC開発プロジェクトリーダーは「上海のレース2で最後まで首位を守ったことと、2位になったことは、マシンの開発において大きく前進したことの証です。この進歩により、鈴鹿のレースでも好結果が得られることを期待しています」と2年連続勝利に強い意気込みを語っている。
残念ながら日本人ドライバーの参戦はないが、ホンダがホームコースの鈴鹿で“ジャパンパワー”を背負って戦うことになる。ぜひ現地で、熱い声援を送りたいところだ。