2014年10月21日 15:41 弁護士ドットコム
法科大学院(ロースクール)の学生減少や若手弁護士の就職難をふせぐため、有志の弁護士や大学教授らがつくった団体が10月27日、東京・霞が関の弁護士会館で、「司法試験の合格者3000人の実現」を訴える集会を開く。
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元最高裁判所判事の泉徳治弁護士や、早稲田大学大学院ファイナンス研究科の川本裕子教授らが登壇し、「ロースクールと日本の未来」をテーマとした講演をおこなう。
主催団体は、今年5月に設立された「ロースクールと法曹の未来を創る会」(代表理事・久保利英明弁護士)。司法試験の合格者数は年間2000人程度で推移していたが、今年は1800人台にとどまった。一方、同会はさまざまな経験や能力を持つ法曹(弁護士や検察官、裁判官)をつくり出すことが必要だとして、合格者数を3000人に増やすべきだと主張している。
同会の事務局次長をつとめる多田猛弁護士は、「法曹の人数を今よりも増やして、競争させる必要があります。そうすることで、街の診療所的な法律事務所が増えますし、法律サービスが身近になって、国民にとってプラスに働くはずです」と話す。
だが、ここ数年の法曹人口の急増を受けて、「弁護士の需給バランスが崩れている」「能力やサービスの質が低下している」として、弁護士業界のなかには「合格者数を1000人以下に減らすべきだ」という声もある。こうした状況について、多田弁護士は「弁護士が企業や自治体で活躍できる仕組みをつくったり、新しい市場を自ら開拓していくべきです」と述べ、弁護士自身の努力が必要だと強調している。
彼らが大きな問題と捉えているのが、ロースクール(法科大学院)の低迷だ。
法科大学院は2004年、法曹の人口を増やし、幅広い人材を取り入れるという理念のもと、スタートした。小泉内閣は2002年、司法試験合格者を将来的に年間3000人にするという閣議決定を行った。当初は、法科大学院を修了すれば、高い確率で法曹になれるという触れ込みだった。
ところが、ふたを開けてみると、司法試験の合格者数は2008年の約2200人合格(新旧試験合計)がピークで、その後減少傾向になった。法科大学院を修了しても、司法試験に合格できない層が増加すると、それに伴って法科大学院の人気は低迷し、入学者数が激減した。各地で定員割れが目立つだけでなく、すでに学生募集を停止したところもある。
集会では、こうした状況を踏まえ、法科大学院をどうしていくべきかが話し合われる。「司法試験3000人合格を実現する国民大集会」は10月27日(月)18時~20時、東京・霞が関の弁護士会館(講堂クレオA)で開かれる。参加費は無料。
くわしい情報は、同会のホームページに掲載されている。
http://www.lawyer-mirai.com/contents/yotei_002.html
(弁護士ドットコムニュース)