WEC世界耐久選手権のLMP1-Hクラスに、919ハイブリッドの2台体制で参戦しているポルシェが、ステアリングの各スイッチなどに割り当てられた機能の詳細を明らかにしている。
今年、スポーツカー耐久レースのトップカテゴリーに16年ぶりに参戦を開始したポルシェ。開幕戦、そして先日の第5戦富士でも表彰台を獲得するなど、初年度から速さを見せている。
そんな919ハイブリッドのステアリングは、前面に24個のボタン/スイッチ、そして裏面には6つのパドルが備え付けられている。中央にはディスプレイが配置され、速度、選択ギア、選択中のエンジンマネジメント、バッテリーの充電状態(前輪を駆動するためにどのくらいの電気エネルギーを使用できるか)などの情報が表示される。
頻繁に使用されるボタンは親指が届く上部外側に配置され、右上の青いボタンは他クラスのマシンを追い抜く際にヘッドライトを点滅させるパッシングボタン。1度押すことで3回点滅するという。
一方、左上に位置する赤いボタンは、バッテリーから電気エネルギーを引き出して“ブースト”をかけるためのオーバーテイクボタンだ。ただし、マシンが1周あたりに使用できるエネルギー量はあらかじめ決められているため(ポルシェはル・マン基準で6MJを選択)、周回の途中でエネルギーを消費するとストレートの最後で使えなくなる。
左右上部の内側には、フロント(黄色)/リヤ(青)のトラクションコントロールを調節するスイッチを配置。左はマイナス方向に、右はプラス方向で調節することができる。また紫色のボタンはブレーキバランスの調整で、左を押すとリヤ寄りに、右のボタンではフロント寄りに調節される。
ディスプレイ下部のロータリースイッチでは、ブレーキバランスや、トラクションコントロールのウェット/ドライのセッティング、ハイブリッドプログラムなどを調節可能。また、『マルチ』と呼ばれるふたつのスイッチは、エンジンマネジメントやフューエルマネジメントの際に使用され、左のスイッチでアルファベットを、右のスイッチで数字を選択。「A2」や「B3」など。文字と数字の組み合わせで調整を行う。
裏面のパドルでは、中央の左右でギヤチェンジ。右がシフトアップ、左がシフトダウンに割り当てられている。下部のパドルは左右ともにクラッチ操作が割り当てられ、コーナーによって使いやすい方を使う。左上のパドルは、前面左上の赤いボタンと同じくブースト用となっており、こちらもボタンかパドルの好きな方を使うことができる。また、右上のパドルは、回生を手動で作動させる際に使用され、ドライバーはハンドブレーキをかける感覚で運動エネルギー回生を行うことができるということだ。