いよいよ10月24日~26日に、WTCC世界ツーリングカー選手権の日本ラウンドが鈴鹿サーキットを舞台に開催される。今季からフル参戦を開始したシトロエンも初めての日本戦に挑むが、このレースでホセ-マリア・ロペスにワールドチャンピオン決定の可能性がある。
長年WRC世界ラリー選手権で王座に君臨したシトロエンは、レギュレーションが大幅に変わった今シーズンからWTCCにシトロエンC-エリーゼで参戦。4度のWTCC王者イバン・ミューラー、9度のWRC王者セバスチャン・ローブに加え、南米、アジアのマーケットを意識しホセ-マリア・ロペス、マ・キンファという4人をドライバーに据えた。
そんなシトロエンは、ライバルのホンダ、そしてプライベーター勢が走らせるシボレーに対し圧倒的な成績でWTCC初年度を制圧。すでに上海でマニュファクチャラーチャンピオンを決め、“敵地”鈴鹿に挑む。そして、これまで384ポイントを稼ぎ出しミューラーに対し93ポイントの差をつけているロペスにとっては、自身初のワールドチャンピオン決定の可能性があるラウンドとなる。すでに王座の可能性があるのはロペスとチームメイトのミューラーのみで、鈴鹿では早ければレース1でロペスのタイトルが決する。
「最後まで集中を切らさないようにしないといけない」とプレッシャーがかかるロペスは語る。アルゼンチン人のレーシングドライバーにとって、ワールドチャンピオンはなんと1957年にF1王座を獲得したファン-マヌエル・ファンジオ以来となる。
「シーズン当初は、僕がチャンピオンを獲得するなんて考えてもいなかったんだ。目の前のことに対処して、チームが目標に到達できるようベストを尽くすだけだと思っていた。だけど、開幕戦マラケシュの予選から僕はリードを奪った。ただタイトルのことは、地元アルゼンチンで連勝できるまで考えないようにしようと思った」
「上海では僕はよりナーバスになっていた。その瞬間が近づいていると感じたからね。僕はいくつもタイトルは獲ってきたけど、ワールドチャンピオンというものは僕が今まで経験したことがないものだ。すごいプレッシャーだよ。でも、それは対処しなければならない素晴らしいプレッシャーだけどね!」
一方、すでに王座の可能性がなくなったローブ、そしてイバン・ミューラーは、2015年をすでに見据えているという。
「自分の中では、タイトルへの希望はこの間消えてしまった。中国へのちょっとした旅行は、それを確信させただけだったよ!」と言うのは、ローブと接触しレース2で無得点に終わったミューラー。
「だけど今は、自分のすべてを来シーズンに向けることに集中しているんだ。我々はまだ改良できる部分があるし、タイヤの理解と使い方を進め、新しいセットアップを見つけるつもりなんだ」
「鈴鹿のフルコースで戦うのは本当に素晴らしいニュースだ。僕たちは今まで2kmの短いコースで戦わなければならなかったからね。正直に言わせてもらうと、すべてのドライバーは世界中にあるオーバーテイクができない面白くもないサーキットで戦うことに困ってるんだよ」
「だけど、今回は我々のマシンのパフォーマンスの真の姿をみせることができる。シトロエンC-エリーゼWTCCでコースに出るのが待ちきれないよ!」
また、9度のWRCワールドチャンピオンであるローブも日本で戦うことを心待ちにしているようだ。
「今年は、来年に向けてパフォーマンスを磨く年だ。スパでのレースから言っているように、僕の課題はレースの時の密集の戦い方だ。残念ながら上海でその課題は顕著になってしまったけど」とローブ。
「僕は日本に戻ることができて本当に嬉しいんだ。日本には僕を熱烈に応援してくれるファンがいるからね! 彼らが鈴鹿で僕たちを応援してくれると確信しているよ」