2014年10月21日 11:11 弁護士ドットコム
女子小学生4人組のアイドル「ガールフレンド」のイベントで、ファンがメンバーの身体に触れるなどしたとして、運営側は、そのファンを「出入り禁止処分」にしたと、9月下旬にオフィシャルブログで発表した。
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オフィシャルブログによると、出禁処分を受けたファンは、9月23日に行われたBBQイベントで、「メンバーの身体に触れる行為」「長時間にわたってメンバーを独占する行為」を複数回行ったという。ファン本人が、意図的な行為だったと認め、反省もしていないことから、こうした処置に踏み切ったという。
こうした小学生アイドルのファン交流イベントは、近ごろ物議を醸している。8月には、成人男性が小学生アイドルを抱っこする写真がネットで拡散し、非難を浴びた。ネットの一部では、こうしたイベントは「抱っこ会」などと呼ばれているようだ。
このように、成人が小学生を抱っこするようなイベントを開催することは、法的に問題ないのだろうか。秋山亘弁護士に聞いた。
「小学生アイドルを『抱っこ会』などに参加させ、成人男性と接触する機会を持たせることは、労働基準法もしくは児童福祉法に違反する可能性があります」
秋山弁護士はこのように切り出した。
「まず、労働基準法に違反する可能性を考えてみましょう。この法律では、18歳未満の者を福祉に有害な場所で働かせることを禁じています。抱っこ会には、性的な意図をもって小学生の身体に触る人がいるかもしれず、『福祉に有害な場所における業務』にあたる可能性があります」
見知らぬ男性に抱っこされれば、幼いアイドルが恐怖や緊張を感じてもおかしくない。まして、いやらしい気持ちで身体を触るファンがいるとなれば、抱っこ会は彼女たちにとって有害なイベントと言えるだろう。
「ただし、小学生アイドルが『本人の歌唱や演技が他人によって代替できない』『報酬は稼働時間に応じて支払われるものではない』など厚生労働省が定める4つの要件を全て満たしている場合は、そもそも労働基準法上の『労働者』ではないとして、労働基準法が適用されません」
では、小学生アイドルが「労働者」に該当しない場合、児童福祉法では守ってもらえるのだろうか?
「抱っこ会のようなイベントが児童福祉法に違反する可能性は、十分考えられます」
どういう理由で、そうなるのだろうか?
「児童福祉法は、『法に触れることをする可能性のある人に、児童を引き渡すこと』を禁じています。
もし、抱っこ会において、抱っこに乗じて性的な目的でアイドルの胸や腰に触れる人がいれば、それは『公共の場所で、衣服などの上から又は直接人の身体に触れることで、相手を著しく羞恥させたり、不安を覚えさせる行為』として、迷惑防止条例違反などの犯罪行為にあたる場合があります。
したがって、主催者側としても、抱っこ会において上記のような行為をする人がいる可能性があると知りながら抱っこ会を行っている場合、児童福祉法に違反すると考えられるでしょう」
秋山弁護士はこのように解説していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
秋山 亘(あきやま・とおる)弁護士
民事事件全般(企業法務、不動産事件、労働問題、各種損害賠償請求事件等)及び刑事事件を中心に業務を行っている。日弁連人権擁護委員会第5部会(精神的自由)委員、日弁連報道と人権に関する調査・研究特別部会員。
事務所名:三羽総合法律事務所