杉野希妃監督の映画『欲動』が、11月22日から東京・新宿武蔵野館で公開される。
2010年に主演とプロデュースを手掛けた映画『歓待』で『東京国際映画祭』日本映画・ある視点部門作品賞を受賞したほか、キム・ギドク監督作『絶対の愛』への出演や、『ほとりの朔子』をはじめとする数々の映画のプロデュースなど、女優、プロデューサーとして幅広く活動する杉野希妃。2011年の『東京国際映画祭』では、『女優=プロデューサー杉野希妃~アジア・インディーズのミューズ』という特集上映も行われた。
杉野の長編監督作としては初の劇場公開作となる『欲動』は、今年の『第19回釜山国際映画祭』でアジアスターアワーズ新人監督賞を受賞した作品。バリ島を舞台に、病に苦しむ夫と、気丈に振舞う妻の性愛と生死が描かれる。母性溢れるヒロインを映画『愛の渦』などで知られる三津谷葉子、死への恐怖から精神不安定に陥る繊細な夫を斎藤工が演じる。杉野は同作のプロデュースも手掛けているほか、キャストにも名を連ねている。
なお、12月6日からは杉野がプロデュースと主演を務めた映画『禁忌』が新宿武蔵野館で公開。同作は、恋人がいながらも女生徒と関係を持つ教師のサラと、サラの父・充に監禁されて性的な関係を持っている少年・望人の歪んだ関係を描いた作品となる。サラ役を杉野、充役を佐野史郎、望人役を太賀がそれぞれ演じている。監督は、同作が長編初監督作となる和島香太郎。
【杉野希妃のコメント】
和島監督がオリジナルで書かれた『禁忌』の脚本を最初に読んだ時、衝撃を受けました。類を見ない三角関係の物語、これまで演じたことのない難しいキャラクターに挑戦してみたいと強く惹かれました。『欲動』は6年前からの企画です。バリ島という生命力溢れる場所に、三津谷さんと斎藤さんの孤独な佇まい、無駄なものを削ぎ落とした美しさが一層映えます。『欲動』も『禁忌』も、究極の場に立たされた人たちを描いています。主人公は抑圧されながらも何かを渇望し、ある時にその欲望を制御できなくなる。女性独特の熱情を表現できたらと思いました。2作品とも過去に私が制作してきたリアリティ重視の作品とはまた違った、異空間が広がっています。濃密な世界を是非ご堪能いただきたいです。