イクメンプロジェクト推進委員会が主催する「イクメン企業アワード2014」の表彰式が10月17日に東京都内で開催され、岐阜県の建設会社、アース・クリエイト有限会社がグランプリを受賞した。
この賞は、男性従業員の育児参加を促進し、業務改善を図る企業を表彰するもの。今回が2回目で、全国43社から応募があったという。アース社は、従業員や家族の気持ちを尊重し、持続性の高い会社運営を目指す経営姿勢が評価された。
建設業の「休みを取りにくい慣習」を変える
同社では22人の従業員のうち、これまでに8人の男性従業員が育児休暇を取得し、14人の子どもの誕生を見守ってきた。来月には初めて女性従業員が育休を取るという。
建設業といえば男性中心社会で、長時間労働も慢性化している。そんな中、社員から「就業時間が長い」「休みが少ない気がする」と子育てをしにくい環境に様々な意見があがり、会社として育休導入に向けて検討を始めたという。登壇した同社営業部長は、取り組みをこう説明した。
「まず、従業員の家庭環境を知るために、全社員と個人面談をし、家庭環境や子どもの状況をすべて把握できるようになりました。また、休暇取得にあたって改めて仕事の引き継ぎをしなくてもスムーズに対応できるように、社内の情報共有ができる環境を整えました」
取り組みにおいて大事なことは、従業員の声を直接聞き、柔軟に社内システムや規定を導入・周知することだという。
同社では出産の際、入社年月日に関係なく出産前から育休が取れる。また、育休とは別に2週間の休暇を取れる「特別休暇制度」を設けている。
さらに義務教育課程の子どもを養育する従業員向けの「始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ制度」などもある。この制度によって、従業員が子どもの授業参観や運動会などの行事に参加できるようになった。
年休取得率も売り上げもアップ
これらの取り組みが契機となり、会社全体で休業者をフォローしあう意識が醸成され、作業効率の向上と時間外労働の減少が同時に達成されたそうだ。
2007年度は年平均300時間だった時間外労働は、2013年度は110時間に減らすことができた。一方、年次有給休暇取得率は07年度の20%から13年度は85%と大幅に伸長し、それでいて売り上げも伸びているという。
イクメンプロジェクト推進委員会の座長を務めるNPOフローレンス代表理事の駒崎弘樹氏は、キツイといわれる建設業界の地方企業が意思を持って努力し受賞したことを「社会的に意味がある。画期的なこと」と賞賛した。
「働きやすい労働環境の整備は、企業経営にとってもメリットがある。業種や従業員規模が違っても、参考にできる点が多くある。企業社会を変える私たち一人ひとりの行動で、日本を変革できると信じています」
その他、男性の育休100%を目指す取り組みを行っている日本生命や、家族のための休暇(ポジティブ・オフ)を推奨している日立ソリューションズなど6社が「特別奨励賞」を受賞し、山本香苗・厚生労働副大臣から表彰状とトロフィーが贈られた。
イクメン企業アワードの名に相応しく、会場にはベビーカー置き場や託児スペースも完備。楽しそうに遊ぶ子どもたちの姿も見られた。
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