2014年10月19日 15:51 弁護士ドットコム
「容疑者が鑑定留置されることになりました」――。殺人などの大きな事件で、被疑者や被告人に対して、「鑑定留置」が行われるというニュースを見かけたことはないだろうか。
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今年も、AKB握手会襲撃事件や長崎県佐世保市の同級生殺害事件など、複数の重大事件で、被疑者が鑑定留置されたと報じられている。
「鑑定留置」とは、いったい何なのだろうか。どんな場合に行われ、どんな効果があるのだろうか。刑事手続きにくわしい萩原猛弁護士に聞いた。
「鑑定留置とは、精神鑑定をスムーズに実施するために、拘置所や鑑定を行う精神科医の病院に、被疑者・被告人の身体を拘束する処分のことです。
これまでも被疑者・被告人に精神の障害が疑われ、精神鑑定が実施された事件の多くで、鑑定留置が行われています」
身体を拘束したうえで、「精神鑑定」を行うわけだ。そもそも、なぜ精神鑑定を行うのだろうか。
「精神鑑定が行われるのは、精神の障害によって善悪の判断ができなかったり、自分の行動を抑えることができない人は、罰せられなかったり、刑が減軽されるからです(刑法39条)。
被疑者や被告人に、精神の障害があると疑われる場合、精神科医が、被疑者や被告人の精神状態を調べることがあります」
その精神鑑定をするためには、どんな手続きがあるのだろうか。
「精神鑑定を実施する流れは、捜査段階と起訴後で次のように分かれています。
(1)捜査段階は、検察官の依頼によって精神科医が行います(刑事訴訟法223条)。
(2)起訴後は、検察官・弁護人の請求を裁判所が採用し、裁判所の依頼によって行います(刑事訴訟法165条)」
それでは、「鑑定留置」をする手続きは、どうだろうか?
「鑑定留置も同様に、捜査段階の場合は、検察官の請求によって決定されます(刑事訴訟法224条)。また、起訴後は、裁判所の職権によって決定されます(刑事訴訟法167条)」
鑑定留置の決定がされると、具体的にはどうなるのだろうか。たとえば、被疑者・被告人はどの程度の期間、留置されることになるのだろうか。
「鑑定留置の期間は、3カ月程度であることが多いです。この期間は、勾留中の被疑者・被告人であっても、勾留の執行が停止します(刑事訴訟法167条の2)」
萩原弁護士はこのように指摘していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
萩原 猛(はぎわら・たけし)弁護士
刑事弁護を中心に、交通事故・医療過誤等の人身傷害損害賠償請求事件、男女関係・名誉毀損等に起因する慰謝料請求事件、欠陥住宅訴訟その他の各種損害賠償請求事件等の弁護活動を埼玉県・東京都を中心に展開。
事務所名:大宮法科大学院大学リーガルクリニック・ロード法律事務所
事務所URL:http://www.takehagiwara.jp/