先日、とある大学で3年生を対象とした「企業研究セミナー」を実施してきました。内容は「メーカーとはどういう仕事なのか、また業界の変遷はどのようなものか」を学生に知ってもらうものですが、実質は会社説明会みたいなものです。
会場となった教室には、15人ほどの学生が来てくれていました。セミナーを始める前に、みなさんに聞いてみたことがあります。
「この中でインターンシップに参加したことがある人は、どれくらいおられますか?」
例年より早期化? リクルーターも活動開始
約半分にあたる8名の方が手を挙げてくれました。大学が推奨している割には、意外と少ないものでした。重ねて、もう一つ聞いてみました。
「もしかして、すでに内定をもらった人はおられたりしますか?」
すると、1人の女子学生が手を挙げてくれました。確かに、受け答えもしっかりしていて、働くことへの意欲も強く、素晴らしい方でした。
彼女はインターンシップにも行っていたので、面接以上に長い時間を共有し、彼女の良さをより分かった上での内定だったのでしょう。縁があってこの学生との出会いを授かった企業は、本当に幸運だと思います。
彼女は、ひとまず内定はもらったようですが、来年3月からもいろいろ企業を見て、その上で最終的な入社先を決めるようでした。
インターンシップ以外にもリクルーター採用で、すでに採用活動を始めている企業の存在も聞いています。「業界研究フォーラム」という名称で、いつも通りの会社説明会を開催しているところもあります。
建て前では「来年の3月から」ではありますが、水面下では、例年通りに動き出しているのが実情です。内定を受けた学生に会った経験からすると、例年よりも早期化している可能性すらあります。
「世の中にどんな仕事があるのか」調べ始めよう
しかし、大学の就職課から話を聞いていると、16年卒の就活生の動きは、いまだかつてないほど遅いのだそうです。例年開催している就活ガイダンスや企業人を呼んだ業界研究セミナーなど、就活に関連するイベントや授業に学生が全然集まらないと聞いています。
「就活は3月からでいいんでしょ?」という学生さんの気持ちは理解できないこともないですが、それでは動き出すのが遅すぎると言わざるをえません。16年卒生のみなさんは、今からできることを実行していくべきです。
とはいえ、例の「自己分析」から始めてはいけません。自己PR文などを考えるのも、後回しで大丈夫です。まずは「世の中にどんな仕事があって、どんな企業があるのか?」を知るために動いてみてください。
今の時期であれば、学内の就活関連のイベントには、ぜひとも参加してみてください。16年卒向けのイベントが見つからなければ、学外の15年卒対象のものに参加してみるのも一つの方法だと思います。
当社も秋採用をしているのですが、合同説明会に行くと、実際に16年卒の学生が来ていたりもします。会社としてもムダになるわけではないので、来ていただいて問題ありません。
大学からは、新卒採用が10月から12月に後ろ倒しになった時にも「乗り遅れた学生」が増えたと聞いています。大人の勝手な都合と意味不明な建て前の犠牲にならないように、自ら考え動き始めることを強くお勧めします。(文:河合浩司)
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