牛丼チェーン「すき家」のレシピがヤフー知恵袋に掲載されていることが分かり、ネット上で話題を呼んでいる。きっかけは、弁護士ドットコムが10月15日に配信した「すき家バイト『ワンオペ体験』告白」という記事だ。
記事は、すき家で働くアルバイト学生にインタビュー。入店5日目からワンオペ業務を担当していたが、先輩から仕事をほとんど教えてもらえなかったため、「ネットでヤフー知恵袋などを参考に調理」していたという。
「ご飯の量は牛丼と同じ、焼き鳥を45秒レンチン」
画像はすき家ウェブサイトより。
この学生は、飲食店で働くのは初めてで、家でも料理は全くしない。調理マニュアルはあるはずだが、「そのときは、店のどこにあるのか、わからなかったんです」という。
この記事には、ネットで「何でも答えがある知恵袋すごい」「こんな風にも使えたとは」と驚きの声が相次いだ。そこでヤフー知恵袋を検索してみると、確かに学生の参考になりそうな投稿が存在した。
そのひとつは2011年2月に投稿されたもので、「すき家NF」が「メニューの作り方を教えて下さい」と質問している。「NF」とは新人を指す「ニューフェイス」の略。投稿主は、山形県在住の女性だ。
投稿前日からすき家のバイトで調理を担当しているが、難しいものはまだ作れない。そこで、「お子様牛丼」と「お子様カレー」「ネギ玉牛丼」「牛丼プチ」「とりマヨ丼」「牛まぶし」の作り方を知りたいという。
すると翌日には、同じくすき家で働いているとみられるユーザーから回答が寄せられた。質問されたメニューの作り方が、一つひとつ丁寧に説明されている。
「牛丼の上に仕込み皿の青ねぎを乗っけてコチュジャンだれを10cc(上プッシュ)。フロアは卵とセパレーター」(ネギ玉牛丼)
「ご飯の量は牛丼と同じ、焼き鳥を45秒レンチン、ご飯にうなぎタレを並15cc(下)、大盛以上は20cc(上2回)、刻みのりを適当に乗っけて、その上に仕込み皿の青ねぎ、焼き鳥、からしマヨの順番でかける」(とりマヨ丼)
「質問」はひとつだけではなかった
「フロアは卵とセパレーター」というのは、フロア担当が卵とともに、黄身と白身を分ける容器(セパレーター)を客に持っていくという意味らしい。ただしワンオペの場合は、これを1人でこなさなければならない。
店が忙しくなってきたときに、注文を効率よくさばくためのテクニックもある。「とりマヨ丼」のマヨネーズのかけ方は、
「とりあえず網の目というか、それっぽい感じにかかってればマネージャーからも特に何も言われません。むしろ速さのが大事な気がします」
と伝授。タイムロスを減らしながら電子レンジを使うコツなども紹介されている。かなり実践的な内容なので、実際に働いている人からの回答に違いない。
知恵袋には他にも、すき家アルバイトと見られるユーザーからの質問がいくつか寄せられている。
「すき家のクルーの方に質問です。私は最近バイトを始めたのですが、牛丼やどんぶりものでややこしい作り方のメニューの作り方がほとんどわかりません」
「すき家クルー経験者の方、牛丼とカレーの盛り方について教えてください!!」
「ここでは書けません」などと回答を拒否されている投稿もあるものの、前出の質問同様、回答者が作り方を教えているものもあった。
「nanapiにまとめておくべき」という意見も
すき家ではバイトに入る前に事前の研修が行われ、調理の仕方は「店舗に入ってから先輩に習います」というが、これだけネットに質問があがっているということは、研修が不十分な場合が少なくないと思われる。
弁護士ドットコムのインタビューには、「大学1年生の子が入店2日目にワンオペに入り、マネージャーに電話で聞きながら調理した」という他の店のケースも。ネットには、調理方法を「(生活レシピサイトの)nanapiにまとめておくべき」という意見も出ていた。
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