10月16日、リクルートホールディングス(HD)が東証一部上場を果たした。初日終値は3330円で、公開価格3100円を7.4%上回っている。上場時の発行済株式総数の約5億7067万株に終値を掛け合わせると、時価総額は1兆9000億円あまりとなる。
9月10日提出の「新規上場申請のための有価証券報告書」によると、リクルートHDの最大の大株主は「リクルートグループ社員持株会」で、約6388万株。株式総数に対する割合は11.19%にものぼり、終値ベースで実に2127億円もの価値となった。
300億円近い「含み益」を得た取引先も?
次に多くの株式を持っているのは、自社と、取引先でもある以下の大手企業だ(金額は終値ベースでの時価)。
「リクルートHD(40,576千株、1,351億円)/大日本印刷(37,700千株、1,255億円)/凸版印刷(同左)/電通(30,000千株、999億円)/三井物産(同左)/農林中央金庫(25,000千株、833億円)/あおぞら銀行(24,050千株、801億円)/NTTデータ(20,500千株、683億円)」
リクルートの上場によって、大きな含み益を得た企業もありそうだ。9月3日のビジネスジャーナルの記事によると、図書印刷は1株1171円で90万株を保有。簿価は10億5390万円とされている。
7月31日にリクルートは普通株式1株につき10株の株式分割を行っているので、図書印刷の保有株式数は900万株。これに初値を掛け合わせると時価は285億3000万円で、含み益は275億円となる。
このほか、共同印刷やCACホールディングスなども、含み益が見込まれる「リクルート関連株」としてその動きが注目されている。
個人では、創業者の故・江副浩正氏(在任1966~88年)名義の株式が507万株、2代目社長の位田尚隆氏(同88~97年)が701万株、3代目社長の河野栄子氏(同97~03年)が500万株を保有している。保有株式の時価は、位田氏が233億円あまり、河野氏が167億円と見られる。
リクルート事件で株式売却を急いだ人もいた
なお、社員持株会2127億円の中にも、数千万円分を保有している社員がいるのではないかという噂も、少なからず聞かれる。ただし、1988年のリクルート事件で紙くずになることを恐れて処分を急いだり、自宅売却などのために持株会に売却したりした人もおり、長年保有している人は必ずしも多くないという見方もある。
また、リクルートの従業員で持株会に入れるのは、正社員のみ。3年限定のキャリアビュー(CV)職で勤務する契約社員は、「上場の恩恵にあずかれずに残念」と悔しそうにしていた。
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