2013年10月15日、オーストラリアのクイーンズランド・レースウェイで、ニュルブルクリンク24時間での優勝経験をもつイギリス人ドライバー、ショーン・エドワーズが26歳で事故死してから1年。エドワーズの思いから生まれた『ショーン・エドワーズ・ファウンデーション(SEF)』では様々な試みを行っている。
ロンドン出身のエドワーズは、過去にF1やル・マン24時間に参戦していた経験をもつガイ・エドワーズの息子。FIA-GT3ヨーロッパ選手権やアメリカン・ル・マン・シリーズで活躍し、13年はポルシェ・モービルワン・スーパーカップで3勝。また、ブラック・ファルコンのメルセデスベンツSLS AMG GT3に乗り込みニュルブルクリンク24時間で優勝。キャリアベストと言える充実した1年を送っていた。
また、昨年公開されたニキ・ラウダとジェームス・ハントを描いた映画『ラッシュ プライドと友情』の中で父ガイ・エドワーズの役柄を務め、ラウダを炎の中から救出する役割を演じていたばかりだったが、昨年クイーンズランド・レースウェイでポルシェの助手席に乗車しサーキットを走行していたが、タイヤバリアに激しくクラッシュ。マシンから火災が発生してしまい、エドワーズは還らぬ人となってしまった。
そんなエドワーズの死後設立されたSEFでは、モータースポーツの安全をより高めるためにさまざまな運動を展開している。その活動はショーン・エドワーズ・テスト(SET)、ファストトラック、アクシデント・サポートという3つの柱で構成されている。
SETは、若手やアマチュアドライバー、ジェントルマンドライバーの安全性向上のため、シミュレーターでのテストや病歴の検査、プロドライバーによるコーチング、実際の走行でのラップタイムや車載ビデオ等により、スキルをチェック。SETが許可しなければレースに出場できないというものだ。一方で、SETをパスすれば保険料が引き下げられる等のメリットもある。
また、ファストトラックでは、エドワーズが情熱を燃やしていた若手ドライバーへの助言を具現化。既存のレーシングプログラムから外れたドライバーを助け、優秀な成績と才能を示したドライバーには、ショーン・エドワーズ・メモリアルトロフィーが与えられる。
アクシデント・サポートでは、事故により負傷したドライバーのリハビリや金銭的な援助を行うとべく、スポーツ専門医療を行う大学と結びつき、専門のコーディネーターが活動。またSEFでは、フルフェイス以外のヘルメットの使用禁止を働きかけていくという。
「このファウンデーションにとって、10月15日は重要な日です。単にショーンが亡くなってから1年というだけではありません。サーキット、プロモーター、主催者、メーカー、我々がすべて同じ方向を向いてくれれば、SEFの活動は良い促進剤となるでしょう」というのは、ショーンの母でSEFの議長を務めるダフネ・マッキンレー。SEFでは、ホームページ(www.seanedwardsfoundation.com)で活動の報告を行っている。また、#jump4SEFというハッシュタグで、エドワーズが生前表彰台でみせていたジャンプを再現した画像をTwitterに投稿するキャンペーンも展開。多くのドライバーやチームが賛同している。