WEC世界耐久選手権を運営するFIAとACOは、今年のル・マン24時間で導入された新システム“スローゾーン”を、ル・マン以外のシリーズ戦でも導入する見込みだ。
コースの一部の区間でのみマシンの速度を時速80kmに制限するスローゾーンは、レース中のセーフティカーの導入を減らすことを目的として今年のル・マンで導入。この新たな試みは成功を収めたとして、FIAとACOはこのシステムをル・マン以外の6時間レースでも導入することを目指しているという。
ACOのスポーティングマネージャーを務めるビンセント・ボーメニルは、WEC第6戦上海からこのシステムが導入されるのではないかという噂にはコメントをしなかったものの、次のように語っている。
「我々は急ぎたいとは思っていない。とはいえ、それは常に(ル・マン以外の)他のイベントでも導入したいと思っていたものなんだ」
「判断をする必要はある。ただ、現在のところ、こうしたことを通常のWECのレースで行う手段はないからね」
スローゾーン導入の際は、レースディレクターの指示のもと、マーシャルによって当該区間で“NEXT SLOW”、“SLOW”といったボードが表示されるシステムになると見られている。
ちなみに、ボードでの指示は、先日行われた富士戦でも、フルコースイエロー導入の際に行われた。このフルコースイエローは、セーフティカーを導入せず、コース全域にわたって80km制限を敷くというものだ。
このシステムは13年の開幕戦シルバーストンでテストされ、今季のスポーティングレギュレーションにも明記されている。ただ、マシンの監視に必要なソフトウェアがまだ利用可能でなかったため、今季ここまでは使用されていなかった。富士戦では、金曜のFP2で試験的にフルコースイエローが導入され、土曜日のFP3、そして日曜日の決勝レースでは実際に運用されている。