2014年10月15日 11:21 弁護士ドットコム
深夜に乳幼児連れで歩く親、あなたは気になりませんか――。深夜、地元の深夜営業カフェや居酒屋にいる親子グループを見かけて違和感を感じたことのある人も多いだろう。乳幼児期の夜型生活は、成長ホルモンの分泌などに悪影響を与えるが、自分の遊びの都合優先で子どもの健康に気が回っていない親も少なくない。
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インターネットのQ&Aサイトにも「若い母親たちが午後11時や午前0時まで近所のカフェで、乳幼児を連れたまま過ごしている。子どもがテラスの外の椅子に座って寝ていることもある。発育上良くないのでは」と書き込まれていた。相談者は「あまりにもおかしい」「店の経営者に直訴しようかと考えている」という。
今年に入って、「マイルドヤンキー」と呼ぶ造語が注目されている。地元から外へ出るのを嫌い、友人や家族との仲間意識を大事にする若者のことだ。ただ、仲間や家族が大事と言いつつも、若い親たちが深夜まで乳幼児を連れ回しても問題はないのだろうか。やめさせることはできないのか。石坂浩弁護士に聞いた。
「クラブやパチンコ店のように、法律上、風俗営業の適用を受ける店舗であれば、18歳未満の子どもの入店自体を禁止できます。しかし、これに該当しない深夜営業飲食店の場合は、保護者が同伴していれば子どもの入店は可能です。ですから、午後11時頃まで、母親と小さな子どもがカフェで食事をしていたとしても、これを直接的に制限することはできません」
では、周りは手をこまねくばかりなのだろうか。
「そういうわけではありません。各都道府県単位で制定されている『青少年保護育成条例』では、ゲームセンターなどへの夜間立入制限をしているところもあります。また、東京都では、深夜の午後11時以降における18歳未満の子どもの外出を制限しています。神奈川県でも、子どもとの深夜同伴外出を控えるよう、大人に努力義務が課せられています」
相談者の近所のカフェが、親子の深夜利用を制限していない場合は、どうしたらいいだろう。
「店舗経営者が親子の入店自体を禁止することはできません。しかし、地域住民が青少年保護育成条例を根拠に『深夜、子どもとの同伴利用は控えるべき』との申し入れをするくらいは可能だと思います。『子どもの健全な育成』という趣旨には合致していますから」
確かに一人で申し入れるよりも、自治会など他の人と協力して申し入れる方が影響力もありそうだ。
もし、深夜に連れまわされた子どもが眠れずに体調を崩している場合は、「虐待」にあたるのだろうか。
「親が頻繁に深夜同伴外出を繰り返し、明らかに子の顔色が悪かったり、アザがある、極端に痩せていたりするなど、虐待の兆候が見えるケースもあるでしょう。こうした場合は、すぐに児童相談所に連絡して下さい」
家族の絆を重んじるのが「マイルドヤンキー」なら、子どもの健康を大切にした生活こそが、家族の幸せにつながることを理解してほしい。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
石坂 浩(いしざか・ひろし)弁護士
第一東京弁護士会 少年法委員会委員
子ども(少年事件、学校問題やいじめ、未成年後見等)と、高齢者(遺言、財産管理や成年後見等)の事案には特に力を入れている。子どものための法律相談(青林書院・共著)の他,学校でのいじめ防止授業や各自治体での高齢者財産管理セミナー等も行っている。
事務所名:石坂綜合法律事務所
事務所URL:http://www.zaka-law.com