ポールポジション記者会見に出席したi-MOBILE AASのブティコン・インタラプワサク 10月4日~5日に、タイのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されたスーパーGT第7戦。スーパーGTの海外でのシリーズ公式戦開催はマレーシアに続くもので、タイ国内では初めての開催。多くの地元メディアが訪れたほか、ドライバーもタイ国内の実力が高いことをみせつける結果となった。
タイの東北部、ブリーラムに建設された新サーキット、チャーン・インターナショナル・サーキットを舞台に争われたスーパーGT第7戦。国際的なレース開催が可能なFIAグレード1規格を取得したコースでランオフエリアも広く、ピット施設も充実。決勝日は75000人もの観衆が訪れ、スーパーGTへの高い関心が示されることになった。
これはタイ国内のメディアも同様で、金曜日の走行開始から多くのタイのマスコミやテレビ局が訪れ、タイで初めての本格的なサーキット完成を報じるとともに、日本車が高いシェアをもつタイで開催されたスーパーGTの様子を伝えた。
そんなタイでは、スーパーカー・タイランドというレースをはじめ、トヨタやホンダによるワンメイクレースが開催。今回のスーパーGTでもトヨタ・オルティス(ビオスも混走)、フィット(現地名ジャズ)やシティによるワンメイクレースが開催され、グランドスタンドからはチャントが聞こえてくるなど、モータースポーツ熱の高さを感じさせた。
もちろん、タイで戦っているドライバーやチームにとって、アジア圏最高峰のGTレースと言えるスーパーGTは憧れのレースのひとつ。GT300クラスでi-MOBILE AASのポルシェを駆り、首位快走をみせたブティコン・インタラプワサクもそのひとり。1999年にモータースポーツキャリアを始め、カレラカップアジアや、マレーシアのメルデカ・ミレニアムでも活躍。タイ国内でのチャンピオンも何度か獲得したことがあるという。
「こうしてスーパーGTに参戦することができたのは素晴らしい機会。日本に行って戦うような体制はまだタイ国内にはないですから。すごくスーパーGTが来てくれたことに感謝している」とインタラプワサク。
「トヨタ・チーム・タイランドもそうだし、僕たちもできればスーパーGTに参戦したいと思っている。まだうまくスポンサーが集まらないんだけど(苦笑)。でも来年、できれば参戦したい」とインタラプワサクは素晴らしい走りでポールポジションを獲得した予選後、初めての日本メディアの取材にはにかみながら語った。彼は決勝でもスタートを担当し、首位をキープしたまま迫り来るGT500車両もうまく処理。トップを守ったまま交代しており、すぐにGT300で戦うポテンシャルがあることを証明している。
一方、快走をみせたという意味では、このタイ戦でi-MOBILE AASのポルシェとともにワイルドカード参戦したナッターウッド・チャロエンスクハワタナも好走をみせたひとり。また、P.MU Exe Aston Martinをドライブしたナニン・インドラ・パユーングは、ふだん全日本F3に参戦し培ったスキルを存分に発揮し、地元凱旋レースで6位入賞。タイ人ドライバーでは最高位入賞を果たした。
「今日のレースは6位が獲れて本当に嬉しかったです。ポディウムを獲れれば良かったですけど、燃費の面もあったのでタイヤ無交換作戦を採って入賞することができました。タイでは耐久レースって実はあまりないんです。だからタイ人ドライバーはあまり慣れていないので、i-MOBILE AASもその面はあったかもしれませんね」とパユーング。
「タイのモータースポーツにとってこのサーキットができたことは本当に大きい。i-MOBILE AASもそうですけど、他にもタイにはトップチームはいっぱいあるので、もっとスーパーGTに出てきてくれるといいですね。僕はタイ人ですが日本に住んでいるので、こうしてタイでレースができると嬉しいです」
「今回はお客さんが多かっただけでなく、僕はタイ国内でレースするのは6年ぶりなんです。すごくプレッシャーがありましたね(笑)。今回、3人参戦したタイ人ドライバーの中で僕がいちばん上に来ることはできたのは良かったです」
来季に向けては、今回ワイルドカード枠で参戦したチームとは別のタイのチームがフル参戦するのではないかという噂もある。「タイのドライバーが日本に来て、セットアップやタイヤのウォームアップを学ぶことができればもっとレベルは上がると思う」とパユーングも語る。今後、タイのモータースポーツ熱がどう加速していくのか。そしてスーパーGTがその中でどんな役割を担っていくのか、注目したいところだ。