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「人を大切にする経営」とは何か 村上龍「結果的に人を助けてるんだよね」

2014年10月13日 08:40  キャリコネニュース

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2014年10月9日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、「客が泣いた! 社員が泣いた! 経営者も涙した!大感動経営スペシャル」と題して、これまで放送してきた中で「人を大切にする経営者たち」4人を紹介した。

お客や社員の心を動かす感動経営の極意を、村上龍は「何か価値のあるものを作りたいとか、従業員のためにサバイバルするとか、結局は『人を助けてる』んだよね、結果的に」と評した。

震災から復活したハワイアンズの「一山一家」

1人目は「スパリゾートハワイアンズ」を運営する常盤興産会長の斎藤和彦氏。福島県いわき市にあるハワイアンズは、温泉リゾートの先駆けとして1966年にオープンした。

東日本大震災で大きな被害を受けながらも、「正社員の解雇は絶対にしない」と半年間の休業中も社員に給料を払い続けたという。そして復活1年で来場者数を震災前の水準に戻し、V字回復を果たした。雇用を守り抜くことについて、斎藤会長はこう語る。

「130年にわたって『一山一家』という運命共同体、『死ぬも生きるも一緒だぞ』ということでずっと来ている。ここで社員を解雇したら、我々の企業はなくなってしまう」

実はハワイアンズの前身は、かつていわき周辺の繁栄を支えた「常磐炭鉱」。昭和30年代、石油の台頭で閉山を余儀なくされるが、炭鉱に代わる地域の産業として考え出されたのが、湧き出る温泉を利用したレジャー施設だった。

「一山一家」とは「ひとつの炭鉱はひとつの家族」という意味で、劣悪な労働環境のもと運命を共にする人々の間に伝わってきた言葉だ。ハワイアンズの工事には、男女関わりなく住民のほとんどが力を合わせたという。

フラガールたちも1人もやめることなく復活したというが、実はフラガールの養成には4億円かかり、ハワイからダンサーを呼べば1億円で済む。「なぜ経費をかけて養成するのか」と村上龍に問われると、斎藤会長はこう話した。

「ハワイから呼ぶのと、社員が踊るのでは、お客様の感動の度合いが全然違う。彼女たちがひたむきに踊る姿をみていると、涙がこぼれるような感動がある。3億円のコストダウンで切り替えていたら、この震災の危機は乗り切れなかった」

世界を救う缶入りパン「社会貢献ではなく商売」

栃木県那須塩原市の「パン・アキモト」は、一見ふつうのパン屋だが、保存料は一切使わず、3年間も焼きたてのようなふわふわ感が保たれる「パンの缶詰」を製造販売している。

社長の秋元義彦氏は1995年の阪神淡路大震災の時、支援物資としてパンを2000個送ったが、半分以上がカビて廃棄された事実にショックを受け、開発に挑んだ。今では企業・学校・自治体など約300団体が、このパンの缶詰を備蓄している。

秋元氏はこの缶詰を、自然災害を受けた世界の被災地やアフリカの飢餓地域などに無償で提供している。無償とはいえ、しっかり利益を出す仕組みをつくっているという。

缶詰の賞味期限は3年だが、企業や学校などに定価の1缶800円で売った2年後、商品を引き揚げさせてくれないかと打診。応じてくれた客には次の商品を100円引きで販売する。賞味期限を1年残した缶詰をNGOの日本国際飢餓対策機構に無償で使ってもらうのだ。

アキモトは更新需要をつかめるので、売り上げを見込める。「社会貢献をしようとは思っていない。商売を継続しなければいけないから」と秋元氏は語る。

フィリピン台風の被災地、サマール島の小学校で缶詰を配ると、子供たちは大喜びしていた。その様子に秋元氏は目に涙をにじませ、声を震わせながらつぶやいた。

「たかがパンの缶詰で、こんなに喜んでくれるなんてうれしいよ。こういう支援はできる人がやるべきだけど、私たちはそれを広めるのが責任だし、使命だと思う」

経営はキレイごとだけでは成り立たないが

番組ではこのほか、愛媛県内子町の道の駅「からり」で農村女性の自立と地域活性に貢献した野田文子さんと、「サラダコスモ」の中田智洋社長を紹介した。中田社長は、日本に無漂白もやしを定着させ、カイワレ大根が風評被害を受けた危機にも、パートを含む全従業員の雇用を死守した。

今回は「人を大切にする」という経営者が紹介されたが、商売はキレイごとだけでは成り立たない面もある。今回紹介されたのは運よくうまくいった例だけなのかもしれず、経営の本当の難しさは経営者でないと分からないだろう。

しかし、人を大切にしないと商品や労働環境が悪くなり、結果的には顧客や取引先の信頼を失っていくという例は多い。それに自分が働くならば、やはり人を助けるために、人を大事にしている経営者の下で働きたいと思うのも事実だ。(ライター:okei)

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