ロシアGP予選。トップ3は相変わらずの面々となりました。
メルセデスAMGがフロントロウを独占するのはいいとして、ウイリアムズのバルテリ・ボッタスが、ここ最近ほぼ確実に3番目のグリッドをキープしてきているように思います。しかも今回は最終コーナーではみ出さなければあわやポール……といった速さを見せてくれただけに、決勝レースへの期待が高まってしまいます。ただ、セクター1と2はメルセデスAMGとウイリアムズのパフォーマンスは同等と見えますが、セクター3はメルセデスAMGに若干のアドバンテージがありそう。この差をいかに埋めるかが、ボッタスにとってのキーポイントとなるでしょう。レースペースも、初日のロングランを見る限り同等の様子。面白い表彰台争いになりそうです。
さて先頭争いのお話はこれくらいにして、今回はその後ろ、4番手争いを中心に見てみたいと思います。
4番グリッドからスタートするのは、マクラーレンのジェンソン・バトン。今回、金曜日から好調さをキープしています。以前のマクラーレンは、予選は速くても、レースペースに難がある印象があったのですが、ここ数戦はレースペースも非常に良く、上位を争う戦闘力を蓄えてきています。これについてマクラーレンの今井エンジニアに聞くと、「マシンの開発が進んで、タイヤを上手く使えるようになってきた」とのこと。6番グリッドを獲得したケビン・マグヌッセンがペナルティにより5グリッド降格になってしまうのは残念ですが、マクラーレンは中段グループの核となりそうです。
そして、この人に触れないわけにはいきません。若干20歳、ロシアのモータースポーツ界を背負って立つ、ダニール・クビアトです。当然、今回は母国グランプリ。ロシアのF1ファンを、熱狂させていることでしょう。
しかし、トロロッソのマシンを駆り、レッドブルの2台を差し置いて、ルノー製パワーユニットユーザー勢トップを獲ったクビアトの走りは、まさに圧巻でした。彼はレース後のコメントで「魔法を使ったわけじゃないよ」と語っていますが、そう勘ぐってしまいたくなるくらい、見事です。
セクタータイムで見ると、クビアトは長い直線と大きく回り込む“ターン3”のあるセクター1で速さを見せています。セクター2はバトンに若干劣り、セクター3は同等。最高速でもバトンと良い勝負であり、ふたりのパフォーマンスは互角と見ています。スタートと、おそらく1回になるだろうピットストップが、彼らの勝負の分かれ目になるかもしれません。マクラーレンのレースペースも良さそうなので、簡単なレースにはならないでしょうが、それでも、十分勝負できるポテンシャルを秘めていると思います。4位か、上位に脱落者があった場合にはそれ以上も狙いたいところです。なんと言ったって、母国初開催グランプリですからね。
その後方にはレッドブルのダニエル・リカルドが位置しています。実は戦前、この「コースはレッドブル向きなのでは?」と思っていました。しかし、ふたを開けてみればパワーが思いのほか重要で、特にレッドブルは苦しんでいるように見えます。実際、リカルドは完全なストップ&ゴーのセクター3は速いものの、セクター1と2では苦戦している模様。予選タイムもクビアトから0.4秒も遅れていますので、前を追うレースではなく、後方から迫り来る、フェラーリの2台、そしてジャン-エリック・ベルニュやセバスチャン・ベッテルらの追撃をいかに交わすか、というレースになるでしょう。しかし、このリカルドの記録を見るたびに、同じルノー製パワーユニットを使うクビアトのパフォーマンスが素晴らしく思えてなりません。
前記したように、タイヤ交換はおそらく1回が主流となるでしょう。これは、タイヤの摩耗とデグラデーションが低いこと、そしてピットレーンの制限速度が時速60kmに制限されたことが大きく影響しています。さて、どんなレースになりますでしょうか。
ロシアGP決勝レースは、現地時間の15時、日本時間の20時スタートです。どうぞお楽しみに。
(F1速報)