GP2の2014年シリーズ第19戦ソチ・レース1が10月11日に行われ、DAMSのジョリオン・パーマーが4番グリッドから優勝。3戦を残して、今季のチャンピオン獲得を決めた。
レースは3番手スタートの伊沢拓也(ART)が素晴らしいスタートを決め、先頭を奪う。しかし、ソチ・オートドロームは最初のブレーキングコーナーとなる2コーナーまでが非常に長く、スリップストリームを使ってポールポジションスタートのストフェル・バンドーン(ART)が先頭を奪いかえす。パーマーも1周目に伊沢とアルサー・ピック(カンポス)を抜いて2番手に浮上。レースはこの順位のまま進行していくこととなる。なお、10番手スタートのフェリペ・ナスール(カーリン)が2コーナーの立ち上がりでコースオフし、アドバンテージを得たとして、後にストップ&ゴーペナルティが課せられている。
6周目、ソフトタイヤでスタートしたピックが、早々にピットに入り、ミディアムタイヤに交換。そのままレースを走り切ることを目論む。しかし、コースサイドにストップしてしまったステファノ・コレッティ(レーシング・エンジニアリング)のマシンを排除するため、8周目にセーフティカーが出動。このタイミングで各車がピットに入り、タイヤ交換を行う。
このとばっちりを受けたのが、特にARTの2台だった。先頭を走っていたバンドーンは、ピットインの指示が出たのがピットレーン入り口寸前で、「もう遅いよ!」とピットに入ることができず。結局そのままステイアウトせざるを得ない状況になってしまう。伊沢はミディアムタイヤでスタートしていたため、28周レースの8周目で入ってしまうと、残り20周をソフトタイヤで走り切らねばならないこととなり、レースの最後まで走り切ることはできないかもしれない。そのため、こちらもステイアウトせざるを得ない状況だった。
11周を終了した時点でセーフティカーがピットに戻り、レース再開。しかし、再スタート時に伊沢がターン17でロックアップしてしまい、リズムを崩してずるずると後方へ下がってしまう。佐藤公哉も後方から挽回を目指すが、リスタート時の最終コーナーで後続車に追突されてしまいスピン。最後尾に下がることとなる。
先頭のバンドーンは好調なペースを並べ、後続とのギャップを築くために猛プッシュする。しかし24周目にピットイン。ここまでにピットストップのロスタイム分を稼ぐことは不可能であり、結局7番手でコースに復帰する。その後も、5番手まで順位を上げるのが精一杯だった。
レース終盤、パーマーはミッチー・エバンス(ロシアン・タイム)の猛攻を受けるも、これをなんとか凌ぎ切り、ソチでの第1レースでの勝利と、年間チャンピオンの座を手にした。2位にはエバンス、3位にはラファエル・マルチェッロ(レーギング・エンジニアリング)が入っている。日本人ドライバーふたりは、伊沢21位、佐藤13位と、予選順位からは想像もできないほど、悪い順位でのフィニッシュとなってしまった。
チャンピオンを決めたパーマーは「チャンピオンになることを目指していたんだよ。チームも、僕自身も、良い仕事をしたと思う。本当に理想的なシーズンだった。タイトルを意識したのは夏休み明けだったけど、あまりプレッシャーは感じなかった。むしろ、素晴らしい感覚だったよ。将来はもちろんF1を目指している。僕には自信があるんだ。簡単にF1に乗れるとは思わないけど、このタイトルがその助けになると思う。GP2を戦ったおかげで、タイヤについてもよく理解できている。僕はもう、F1に乗る準備ができているし、F1に行けると確信しているんだ」と喜びと、そして将来の希望について語っている。
なお、GP2のソチ・ラウンドのレース2は、明日12時5分(日本時間の17時5分)から行われる。