初開催のソチ・オートドローム。レイアウトだけ見れば、直角コーナーが続く、ストップ&ゴーのサーキットのように見えます。しかし、実際にはかなり速度域が高く、ダウンフォースレベルもそれなりに要求されるコースであるようです。
それも、路面のグリップが高いから。通常のグリップレベルなら、典型的なストップ&ゴーサーキットになるのでしょうが、グリップが高い分、コーナーを高い速度域で通過することができます。しかも路面はスムーズであり、その上タイヤを休ませることができる長い直線が2本あるため、デグラデーション(性能劣化によるグリップ力低下)もほとんど見られないようです。あるチームでは、「走れば走るほど、ペースが上がっていく」という評価をしているようです。
この評価は、確かにその通り。フリー走行2回目のロングランペースを見てみると、メルセデスAMGも、ウイリアムズも、マクラーレンにも、そのような傾向が出ています。走れば走るほど、タイムが出る。そのため、おそらく各車とも1回のタイヤ交換(ピレリは2回を推奨)で走り切ることができるはずです。つまり、前方のマシンを抜くためにピットでの戦略を活かすことが難しくなるので、予選の順位が重要となります。
そうなると優位なのは、やはり今回もメルセデスAMG。中でも特にルイス・ハミルトンが圧倒的な一発の速さを見せていて、2度目のチャンピオン獲得をグッと手元にたぐり寄せる、そんなグランプリになるかもしれません。ハミルトンは、他での誰も記録できていない1分39秒台のラップを2度も記録。各陣営の走行時の状況に不透明な部分もありますので、その差はもっと縮まってくる可能性はありますが、ハミルトンが優勝候補の最有力にいることは、間違いなさそうです。もちろん、ロングランのペースも速いです。
ハミルトンの後方は、ケビン・マグヌッセン、フェルナンド・アロンソ、ニコ・ロズベルグ、バルテリ・ボッタス、ジェンソン・バトン、フェリペ・マッサの6台による熾烈な2位争いとなりそうです。ただ、この中で判断が難しいのは、フェラーリのパフォーマンスです。アロンソはFP2で、速いラップと遅いラップを交互に繰り返していて、実際の意味でのロングランは行っていません。実際にペースを持続させて走ればどんなペースになるのか? アロンソだけは不確定要素があるかもしれません。
一方、これまで“一発が速くとも、ロングラン性能に劣る”ことが多かったマクラーレンですが、今回はしっかりと速いペースで走行できています。これは、全開の鈴鹿でも同様で、表彰台すら狙える走りでした。FP2を見ると、今回も高いレベルでのロングランを行えていて、開幕戦以来の表彰台獲得も、十分可能性があります。
ウイリアムズも当然好調。一発の速さではメルセデスAMGの、特にハミルトンには敵いませんが、ロングランのペースならば、ロズベルグよりもむしろ速いくらいです。
さて、ここまで各チームの可能性を述べてきたのですが、ひとつ、名前の挙がらなかったチームがありなす。そう、レッドブルです。レッドブルはロングランも、そして一発のアタックでも、あまり良いペースを発揮できておらず、このままのパフォーマンスでは、苦戦を強いられる可能性が高そうです。ただ、ダウンフォースレベルが高いと言われるマシンを持つレッドブルが、このサーキットに合わないとは、どうも思えないのですが……。燃料搭載料が多かったのかもしれません。
さて、注目のロシアGP予選は、本日の15時から。どうぞご期待ください、