2014年10月10日 14:51 弁護士ドットコム
ソニーは9月、株主に対する配当を見送ることを発表した。株主に対する配当がないのは、1958年に上場して以来56年間で、初めてのことだ。
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ソニーは配当しない理由について、「モバイル・コミュニケーション分野における減損計上による2014年度連結業績見通しの下方修正を勘案」したとしている。ざっくり言えば、予定していた利益が出ずに、赤字が膨らんでしまったということだ。
たしかに、配当は、会社の儲けを株主に対して分配するというイメージがある。儲けがなければ、配当が出ないのは当然のようにも思える。
しかし、ソニーはこれまで赤字の時でも配当をしてきたそうだ。そもそも会社が赤字の時に、どうして株主に配当できたのだろうか。税理士でもあり、公認会計士でもある力丸宣康氏に聞いた。
「株主に配当をするかしないかは、当期の純利益のみで判定するわけではありません。それまでに蓄えてきた『内部留保』があれば配当が可能です。
ごく簡単に言えば、今年1年だけを見て赤字でも、会社にそれまで貯めてきたお金があれば、配当してもよいということです」
では、赤字だろうと何だろうと、いくら配当しても問題ない?
「そういうわけではありません。配当をするにあたっては、会社法のルールを守らなければいけません」
どんなルールだろうか?
「株主に対して支払われる配当は、『剰余金の分配可能額』を超えてはならないというルールです。
『剰余金』とは、会社が事業などで得た利益のことです。『剰余金』は、すぐ株主に配当してもよいのですが、そうせずに『内部留保』として貯めておくこともできます。
『分配可能額』とは、その時期に株主に配当してよい金額の上限のことです。計算方法は会社法の461条2項に書いてありますが、ややこしいので省略します。
まとめると、『分配可能額』の範囲内であれば、会社は配当する額を自由に決めることができるんですね」
その範囲を超えて、配当をしたらどうなるのだろうか?
「この『分配可能額』を超えて株主に対する剰余金の配当を行った場合、その配当は違法な配当です。
株主、業務執行者および剰余金の分配に関する諸案を提出した取締役は, 会社に対し連帯して支払義務を負います」
力丸税理士はこのように指摘していた。
【取材協力税理士】
力丸 宣康(りきまる・のぶやす)税理士・公認会計士
新日本有限責任監査法人を経て、福岡市中央区天神にて開業。“経営者と想いを共有する”を理念に、孤独な存在である経営者のサポートを全力で行っている。学生時代ラグビーで培った、実直さ、フットワークの軽さが持ち味。
事務所名 :力丸公認会計士事務所
事務所URL:http://www.rikimaru-cpa.com/
(税理士ドットコムトピックス)