ジュール・ビアンキの事故を受け、F1マシンの安全性向上のためクローズドコクピットコンセプトを導入する可能性について、F1ドライバーたちがそれぞれの意見を語った。
日本GPでビアンキはクラッシュにより頭部に重傷を負い、現在も集中治療を受けている。
F1では安全性向上のため、これまで何度もクローズドコクピットコンセプトの導入が検討され、コクピットを覆うキャノピー、ドライバーの前方に設置するロールフープなどのテストが行われてきた。昨年FIAはチーム側にフロントロールフープに関する意見を聞いたところ、チーム代表らは「醜い」という意見で採用を拒否したと言われている。
しかしビアンキの事故の後、クローズドコクピットのコンセプトを再検討すべきだという意見がドライバーから出ている。
フェルナンド・アロンソは、少なくともこのコンセプトについて調査を進めるべきであるとの考えを示した。
「僕はどちらかというと、このアイデアに関して少なくとも調査あるいはテストするべきだという考えだ」とアロンソはロシアGPを前にした木曜に語った。
「技術が発達している今、飛行機などいろいろな場面にうまく活用されている。検討しない理由はない」
「ここ数年にモータースポーツで起きた大きな事故すべてで(ドライバーが)頭部にけがを負っている。だからこの部分に関しては安全性がベストではないということだ」
「2012年スパの僕の事故を振り返ると、(ロマン・グロージャンのマシンが)あと10センチ頭に近かったら、僕は1コーナーで命を落としていただろう」
「利用できる技術があり、利用することが可能なのなら、(クローズドコクピット導入という選択肢を)除外したくない」
2009年ハンガリーGPのアクシデントで頭部に重傷を負ったフェリペ・マッサも、クローズドコクピット採用を検討すべきだと述べている。
「フェルナンドの意見に全面的に賛成だ。可能性について調査してみるのはいいことだと思う。僕の事故の場合には(クローズドコクピットは)とてもうまく機能しただろう。ただ、ジュールの場合はどうか分からないが」
一方で、セバスチャン・ベッテルとジェンソン・バトンは、クローズドコクピットの導入はF1のコンセプトを変える大変更であると指摘している。
「複雑な思いだ。シリーズがスタートした時からずっとF1はオープンホイールのレースだ。(オープンコクピットは)特別な要素なんだ」とベッテル。
「ただ、フェルナンドが言うように、今後調査してみるべき理由は十分あると思う」
「(クローズドコクピットには)安全面に関してはポジティブな要素があるのは確かだ」とバトンは言う。
「ただ、F1は最初からオープンコクピットでやってきた。(クローズドコクピットの導入は)このスポーツにとってかなり大きな変化になる」