WTCC世界ツーリングカー選手権の北京ラウンドで、ロバート・ハフにより記念すべき初勝利を飾ったロシアのラーダ。チーム代表のビクトル・シャポバロフは、この勝利が2014年に向けて直面した「信じられないような挑戦」に対する報酬だったと語っている。
10月4日~5日に開催されたゴールデンポート・サーキットで開催されたWTCC北京ラウンドで、ハフがドライブしたラーダ・グランタ1.6Tは、トム・コロネル駆るシボレー・クルーズを振り切りレース2で優勝。8年間の参戦を経て、初めての優勝をラーダにもたらした。
今季、WTCC世界ツーリングカー選手権では、新たに改造範囲を広げたTC1レギュレーションが導入されたが、それに合わせてメーカーワークスとは言え、シトロエンやホンダと比較して小規模で活動しているラーダにとって、新規定準拠のグランタの開発は難航。当初は重量も規定より重く、シーズン途中に軽量化とサスペンションのリデザインを行った。
「本当に困難で、信じられないような戦いだったんだ。レースで速く走らせることはおろか、エンジンを始動可能にすることから大変だったんだ」とシャポバロフはこれまでの戦いを振り返った。
「我々は開幕前にテストを行っていないんだ。シェイクダウンさせただけだよ。最も重要な開発作業は、アルゼンチンの前だったんだ。そこでは多くの改良がなされ、クルマは確実に良くなった。でも、再設計したため最適なセットアップを見つけるだけの時間がなかったんだ」
シャポバロフは、この2014年の結果に関わらず、ニューマシンであるラーダ・ベスタが導入される2015年シーズンの活動はラーダから大いにプッシュされることが承認されているという。
「今回の勝利はプロジェクトをさらに支えてくれるかもしれないが、ラーダは我々のプロジェクトを信じてくれているんだ。来季ベスタで戦うことに向けて、すでにプログラムは承認されている。今よりも多くの人たちが新車のデザインに関わり、もっともっと良くしようと働いてくれている」
今季、グランタ1.6Tは低速サーキットで速さをみせたが、その欠点は空力特性にあると言われている。WTCCは北京戦を終えた後、上海ラウンドを行い、鈴鹿サーキットでの日本ラウンドを迎えることになる。どちらもサーキットもF1開催コースで、グランタには適していないと考えられるが、シャポバロフは最終戦のマカオでは、パフォーマンスが発揮できるだろうと語る。
「我々はこのクルマの弱点が空力にあることは分かっていたんだ。だから、北京のゴールデンポート・サーキットは我々に合っているコースのひとつだろうと思っていた」とシャポバロフ。
「マカオでは、高速の第1セクターではタイムをそれほどロスしないかもしれない。ドライバーのロブとジェームス(トンプソン)はそのエリアでいい感触をもっているからね」