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いったい何を言ってるんだ! 自殺女性が就職したのは「ワタミではない」だって?

2014年10月09日 12:00  キャリコネニュース

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2008年にワタミの女性社員が過労自殺した問題で、現在も裁判が続いています。私は9月22日に東京地裁で行われた口頭弁論の資料を、あるルートから入手しましたが、ワタミの元社員から見ると気になる点がいくつもありましたので、「実際はどうだったのか」ということをお話ししたいと思います。

ワタミ側は口頭弁論で、自殺した森美菜さんは入社式での配属希望アンケートで「外食」に印をつけたのだから、美菜さんが就職したのはワタミフードサービスであってワタミ本社ではない。したがって「この時点でワタミ本社と美菜さんとの間に雇用関係はなくなった。自殺はワタミ本体と渡辺美樹氏の責任には当たらない」ということを言っています。(文:ナイン)

配属先で名刺を配られ、初めて「入社した会社の名前」を知った

ワタミ側は、実際の就職先は「ワタミフードサービス」だという理屈で、本社と渡邉美樹さんに責任が及ばないようにしたいのだと思います。しかしこれを初めて聞いた時、元社員である私ですら「いったい何を言ってるんだ!?」と思いました。

この件に関しては、従業員がどのように認識したうえで入社し、働いていたかが重要であるといえます。実際はどうだったのでしょうか。

結論から言うと、新入社員は「自分はワタミに就職した」という意識でおり、「募集はワタミ、就職はワタミフードサービス」という認識はありませんでした。採用担当者も、そんなことを説明しませんでした。

私が「本当の就職先はワタミフードサービスだったんだ」と気が付いたのは、職場に配属されて名刺を配られた時が最初でした。名刺の社名に「ワタミフードサービス株式会社」とあったのを見て、「あれっ、ワタミじゃないんだ!」とその時に初めて知ったのです。

なお、私の選考時の「外食か介護か」アンケートは、美菜さんのように入社式ではなく、応募時点で行われました。しかしその後、就職先が別の会社になることとは知りませんでした。ワタミはこの段階からあえてそうしていたのか、ただ単に採用担当者が伝え忘れていたのかわかりませんが、説明がなかったことだけは確かです。

雇用問題の責任逃れが前提であれば悪質

もし雇用責任の問題が発生することを見越して、あえて会社を切り分け、説明を省いていたのであれば、悪質と言わざるを得ません。仮にそうでなかったとしても、あれだけ渡邉さんの本やビデオなどで研修をさせたのですから、ワタミ本体はワタミフードサービスと一体の会社として責任を負うのは当然であると感じます。

なお、私の頃の入社式のアンケートでは、配属先の地域を選ぶ方式になっていました。「関東」「関西」「どこでもいい」という3つの大雑把なアンケートで、会社は新入社員の配属をかなり強引に決めていきました。

いちおう希望を聞きはしますが、実際にその通りになるかどうかはわかりません。配属先の希望を「関西」とした同期の男性がいましたが、実際の配属先が「福岡県」になっていました。ワタミの日本地図では、福岡県は関西なのでしょうかね。

念のため書き添えますが、私は自分が働いていた会社を進んで悪く言いたいとは思いません。それでも裁判の様子を知り、1年先輩の女性が過労自殺した責任を会社が真摯に負おうとしていないことに、かなり失望しています。最後になりましたが、亡くなった森さんに心から哀悼の意を表します。

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