今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。鈴鹿、日本GPの週末を通して22人ドライバーのなかから「ベスト・イレブン」を選出。レース結果だけではなく、3日間コース上のプレー、そしてパドックでの発言などを含めて、さまざまな視点から評価。
(最高点は☆☆☆☆☆5つ)
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※南仏のモータースポーツ名家で育ったジュール・ビアンキ。新人初戦の13年オーストラリアGPから将来性を感じていた。マルシャでセバスチャン・ベッテルに迫る11位相当ベストラップ、新人バルテリ・ボッタスを上回り、第2戦マレーシアGPではキミ・ライコネンに次ぐ自己ベストをマーク。新人を観察するには予選よりも決勝、非力なマシンでの戦い方に注視する。彼のデビューを結果ではなくレースペースで高く評価するとともに、さすが「フェラーリ公認」の逸材と認識した。有望なる次の時代のエースドライバーがきっと獲得したであろう多くの☆を、願いを込めてここに捧げさせていただきます。
☆
エスティバン・グティエレス
メガネ着用、鈴鹿2年目を今季セカンドベスト13位でまとめた。他のコースより自信を持って攻める姿勢がうかがえた。それはブラインドコーナーの進入速度で解る。
☆☆
小林可夢偉
決意のもとファンのために参戦、ずぶ濡れのままドライバーズパレードを。<みんなが雨に耐えているのだから自分だって>。いつコースを飛び出してもおかしくなかった彼のケータハム、周回遅れ時に青旗ルールを順守しつつ精一杯の走り。それは客席に十分伝わったはずだ(TVフォローはなかったが)。
バルテリ・ボッタス
土曜夜にCS番組「GPニュース」に生出演、途中退出するときにひと声かけた。「キートス(ありがとう)」。いきなりフィンランド語で言ったのでびっくりしてニコッ。予選ドライ3位、決勝ウェット6位、決して彼は雨が苦手ではないがマシンが……。
☆☆☆
ニコ・ロズベルグ
3セクターすべてベストのスーパーラップで鈴鹿初PP、完璧なアタックだった。中高速旋回切り返しがクイック&スムーズ。ただ気になったのは、リヤの滑りがドライ路面ではOKバランスでもウエットでどうか。中盤からオーバーステア傾向が見てとれ、彼は18点堅持にまわった。
ダニエル・リカルド
S字から逆バンクにかけてオーバーテイク・シーンはめったにない。でもウエットならば不可能ではない。レコードラインを外れてもドライの情況より少しだけグリップがあるからだ。それを感じとり、仕掛けた“ミツアナ熊"。S字客席は大歓声だったとか。
セバスチャン・ベッテル
土曜朝の<ベッテル・ショック>。ゲートでファンの女性に「彼ホントにレッドブル辞めちゃうんですか?」と聞かれた。前夜、H・マルコに契約解除を通告、今まで自分に“飼い犬"のように接してきた彼に対して単刀直入に……。予選は捨てても雨の決勝セットアップ、狙い的中3位。
☆☆☆☆
ダニール・クビアト
まっすぐ直線を走れないまま、絶えず左右にマシンが滑るアクアプレーンぎりぎり状態ながら、抜いていくクビアト。天才の超スロー映像VTR保存版(!)。
ジャン・リュック・ベルニュ
19周目から最後までインターミディエイトで最長27周ロングスティント実行(同ボッタス)、PUペナルティによる20位グリッドから9位入賞を。トロロッソ契約解除後の彼はミスのないレースをここでも貫いた。35周目に自己ベスト、タイヤ履歴を考えるとハイペース、<ベッテル・ショック>にも動揺せずレースに集中。
ルイス・ハミルトン
27周目、1コーナーであわやという瞬間をリカバー、ひるむことなくロズベルグを追う。28周目、シケイン出口で相手が加速ミス。ためらいなく背後に接近、一瞬、右に振る素振りから左のアウトへ。並走状態でインにいる相手をアウトからパス、すべて読み切ったコース上の逆転劇だ。今まで日本には彼のファンは少ないと聞いていたがそうとは思わない。
ジェンソン・バトン
FP2コースサイドで100%バトンを見た。奇麗、上手い、速い。「もっと攻められるな」と感じさせるときの彼は、セットアップが決まったときなのだ。4位タイムに納得。だが予選はラストアタックのシケインでロックアップ、8位に。フルウエットレースになると本領発揮、早め早めのタイヤチョイスで追走。31周目、ステアリング交換6秒9が惜しまれるが、5位入賞によってフォース・インディアに1点差(日本通の彼は稲生駅から帰っていったとか)。
☆☆☆☆☆
エイドリアン・スーティル
レース直後に毅然とした態度でぶらさがり記者たちに対応する姿を見た時、レーサーとして、人間として彼を尊敬せずにはいられなかった。見てしまったすべてを語るのも勇気、語らぬも勇気。おそらくこの夜は眠れなかったことだろう。心情を察したい。
☆なし
他10人
(今宮純)