2014年10月08日 17:21 弁護士ドットコム
環境意識の高まりもあり、自転車に乗る人が増えているという。その一方で、問題になっているのが「放置自転車」だ。あるコンビニ店長のAさんは、店の駐輪場に放置された自転車に頭を悩ませていると、ネットのQ&Aサイトで告白している。
【関連記事:<速報>小保方さんの博士号「学位を取り消す」 早稲田大学が「猶予付き」の決定】
店舗が駅前にあるため、Aさんの店舗の駐輪場に自転車をとめる人が後を絶たないそうだ。Aさんは自転車に「無断駐輪禁止」の貼紙をして、その自転車の防犯登録番号も記録した。その結果、放置自転車の数は減ったものの、貼紙で繰り返し警告しても無視する「常習犯」もいるという。
Aさんは「警告を何回しても全然気にかけていない様子が許せない」「私有地の放置自転車を合法的に撤去する方法はないのか」と尋ねている。Aさんが勝手に放置自転車を撤去しても、問題ないのだろうか。もし自分たちで撤去できない場合は、どういう手段があるのか。加藤英典弁護士に聞いた。
「 Aさんが、勝手に自転車を撤去することは、法律上、問題となり得ます」
加藤弁護士はこう指摘する。それはなぜだろうか。
「Aさんには、自転車をどけてもらう法的権利があります。しかし、権利があるからといって、きちんと法的な手続をとらずに実力行使をすることは、原則的には許されません。
これを『自力救済の禁止』といいます。なぜこんなルールがあるかといえば、実力行使を許すと、『実力がある者が正義』ということになりかねず、それ以外の人が守られないからです。
もしも、勝手に自転車を撤去して持ち主からクレームがきた場合、自転車の価値分を弁償しなければなりませんし、Aさんが器物損壊罪に問われる可能性もあります」
とはいえ、いっこうになくならない放置自転車に、Aさんはほとほと困り果てている。加藤弁護士は「裁判を起こせば合法的に自転車を撤去できる」と説明するが、コンビニの店長として忙しく働くAさんにそんな余裕はないかもしれない。
「では、ちょっと勇気はいりますが、『常習犯』が自転車を取りに来たときを見計らって、『無断駐輪です。駐輪代を支払ってください』と声をかけてみてはどうでしょうか。
コンビニ側は、無断駐輪をしている自転車の持ち主に対して、損害賠償を請求する権利があります。金額は、周辺の有料駐輪場の相場の2~3倍程度がよいでしょう。
もしも相手がお金を支払わなくても、一度声をかけられたことで、さすがの常習犯もその後は無断駐輪を控えるかもしれません」
加藤弁護士はこのようにアドバイスしていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
加藤 英典(かとう・ひでのり)弁護士
埼玉県出身。都内法律事務所勤務を経て埼玉県所沢市で開業。一般民事(倒産、消費者、離婚、相続など)と刑事事件を中心に取り扱う。袴田事件などの弁護団事件でも活動。
事務所名:所沢りぼん法律事務所
事務所URL:http://ribbon-law.jp