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二階堂ふみ×長谷川博己の映画『この国の空』、戦時下に「女」になっていく少女の物語

2014年10月08日 11:50  CINRA.NET

CINRA.NET

映画『この国の空』より
荒井晴彦監督の映画『この国の空』が、2015年に全国で公開される。

同作は、1983年に出版され、翌年に『谷崎潤一郎賞』を受賞した高井有一による同名小説が原作。終戦間近の東京を舞台に、杉並の住宅地に母と叔母と共に暮らす19歳の里子が、妻子を疎開させて1人で暮らす隣人・市毛の身の回りの世話をすることに楽しみを覚え、やがてその楽しみが里子の中の「女」を目覚めさせていく、というあらすじだ。

音楽を志していた市毛が奏でるバイオリンの音色に心を和ませながら、男性と結ばれないまま戦争で死んでいくのではないかという不安を抱える主人公・里子を演じるのは二階堂ふみ。徴兵検査で丙種となって徴兵を免れ、一人暮らしをしている市毛役を長谷川博己、里子の母役を工藤夕貴が演じる。

監督・脚本を手掛けるのは、『ヴァイブレータ』『共喰い』『海を感じる時』などの脚本で知られる荒井晴彦。『この国の空』は荒井にとって、1997年公開の映画『身も心も』以来の監督作となる。荒井監督は『この国の空』の映画化について、「三十年前、『この国の空』を読んで、映画にしたいと思った。高井有一さんにお会いして、映画にできる当てはありませんが、原作を頂けませんかとお願いした。高井さんは快諾してくれた」と明かしている。なお、同作は吉本興業グループが新たに設立した映画の製作・配給・宣伝などを行う会社「KATSU-do」が製作幹事となる。

【荒井晴彦監督のコメント】
この国の戦後は、戦争が終ってよかっただけでスタートしてしまったのではないだろうか。まるで空から降ってくる焼夷弾を台風のような自然災害のように思って、誰が戦争を始めたのか、そして誰がそれを支持したのかという戦争責任を問わずに来てしまったのではないだろうか。戦争が終ってバンザイじゃない娘を描くことで、この国の戦後を問えるのではないかと思った。
企画は動かなかった。六年前、余りに仕事がないので「この国の空」をシナリオにした。信頼する監督に読んでもらった。脚本賞取れるようなホンだけど、こういう映画、誰が見るの?と言われた。去年の暮、あるプロデューサーがやりましょうと言ってくれた。監督、誰にしようと言ったら、自分で撮りなさいよと言われた。そして、いま、「戦争が終って僕らは生まれた」と同じ歳のカメラマンと「戦争を知らない子供たち」を口ずさみながら撮影している。
敗戦から七十回目の八月十五日の公開を目指して。

【二階堂ふみのコメント】
京都太秦撮影所での撮影は初めての経験なのですが、本気度の高いスタッフの方々とご一緒する事ができて嬉しいです。素敵な作品になるよう精一杯頑張ります。