小林可夢偉が予選でマーカス・エリクソンに負けた。今シーズン、可夢偉がチームメイトにアウトクォリファイされたのは、3回ある。第5戦スペインGPと第7戦カナダGP、そして第9戦イギリスGPだ。
バルセロナはセクター3で渋滞に引っかかった。モントリオールではドライブシャフトに問題が出て、縁石が使えなかった。そして、シルバーストンはERSにトラブルが出て、ECUを一旦、リセットするためにピットインして、再びアタックに出たが、直っていなかった。つまり、可夢偉がチームメイトに予選で負けるときには、必ずそこにドライビング以外の理由があった。
今回の鈴鹿での理由は、パーツの差だった。ケータハムは今回、日本GPに新しいフロントウイングを持ち込んだ。しかし、それはひとつだけ。使用したのは可夢偉ではなく、エリクソンだった。中高速コーナーが連続する鈴鹿のセクター1は、フロントの回頭性がタイムに直結するため、新しいフロントウイングがあるかないかでは、結果は大きく変わってくる。セクター1で、常にチームメイトに差をつけられていたのは、それが関係していた。
ただし、それだけなら、可夢偉の腕を持ってすれば、もう少し接近した戦いになっていてもおかしくない。現に可夢偉はセクター2とセクター3でエリクソンを上回っていた。それでも、可夢偉がエリクソンを逆転できなかったのは、金曜日にクラッシュしたマシンを修復するのに、チームは異なるパーツを使用するしかなかったからである。
さらに土曜日の午前中のフリー走行で可夢偉はブレーキが燃えるというトラブルに見舞われ、オプション(ミディアム)タイヤでのアタックを完了することなく、セッションを終えていた。金曜日もオプションを履く前にクラッシュしていたので、日本GPでの可夢偉はぶっつけ本番でオプションタイヤを履いてアタックしていたことになる。
「ハンガリーGPのあたりまで、ダウングレードしてしまっていたのが痛かった。フロアもエンジンカバーも古いもの。フロントウイングも含めると、空力パッケージだけでコンマ7、8は違っていたと思う。チームメイトとまったく同じパッケージで、しっかりとセッティングもできて、さらにオブションタイヤの感触を確認して、マシンのバランスをとってアタックしていれば、1秒は速かったと思う」
そうなっていれば、ロータスを上回っていたかもしれないだけに、最新のパッケージで地元を走らせたかったと、鈴鹿のファンも願っていたと思う。