2014年10月04日 14:51 弁護士ドットコム
道ばたに3000円が落ちていたら、あなたはどうするだろうか? 新潟県の20代の女性教諭が、路上で拾った現金3000円をネコババし、フェイスブックに「3000円拾いました。大切に使います」と書き込んだとして、県教育委員会から戒告処分を受けていたことがわかった。
【関連記事:エド・はるみさんへの誹謗中傷を許さない――弁護士が「法的措置」を宣言したワケ】
報道によると、女性教諭は2012年9月、駐車場に落ちていた現金3000円を拾い、自分のフェイスブックにその事実を書き込んだ。今年7月、県教委に情報提供があって発覚。女性教諭は「浅はかなことをした」と事実を認め、投稿を削除したという。
しかし、そもそも道端に落ちている「お金」を拾って自分のものにしてしまうことは、犯罪にあたるのだろうか。「誰のものでもないから、自分のものだ」ということはできないのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。
「法律では、落とし物を拾ったら速やかに、拾ったものを落とした人に返すか、警察に提出しなければいけないと決まっています。
これを守らずに、落としものを自分のものにしてしまうと、遺失物を横領したとして、1年以下の懲役または10万円以下の罰金、もしくは科料(金額は1000円以上1万円未満)に処せられます」
田村弁護士はこのように説明する。道端に落ちているお金をネコババしたら、「遺失物横領罪」という、いかめしい名前の犯罪になってしまうということだ。
では、もしも今回のケースで、女性教諭が3000円をちゃんと警察に提出していたらどうなっていただろうか。
「警察にお金を届けても、誰が落としたかすぐには分からないことがほとんどです。そこで警察は、現金が拾われた日時・場所などを警察のホームページ等で発表し、落とした人を探します。
そして、落とした人が判明した場合、お金を拾った人は、拾った金額の5~20%を報労金としてもらえることになっています。また、警察が発表してから3カ月たっても落とした人が判明しない場合、拾った人が全額もらえます」
お金を警察に届けて、一定期間落とし主が判明しない場合は、全額が自分のものになるわけだ。
「今回の場合、女性教諭がちゃんと警察に届けていれば、少なくとも報労金が適法に得られたわけです。そのわずかな手間を惜しんでネコババしてしまった代償は大きいと言えるでしょう」
田村弁護士はこのように述べていた。女性教諭が拾った金額は3000円だから、報労金は150円~600円。もし落とし主が判明しなければ、3000円をそのままもらえたことになる。
「落とし物は警察へ」――小学校で習うようなことかもしれないが、この際、あらためて心に刻んでおくべきだろう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
平成26年度沖縄弁護士会理事。同年度沖縄県包括外部監査補助者。経営革新等支援機関
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:http://www.deigo-law.com/