いよいよ10月3日(金)に、チャーン・インターナショナル・サーキットで走行がスタートしたスーパーGT第7戦。まったく新しいサーキットで初のGTマシンの走行となったが、ドライバーたちはどんな感想を持ったのだろうか? コースインスペクションからドライバーたちに同行し、感想を聞いた。
チャーン・インターナショナル・サーキットは、ヘルマン・ティルケデザインのFIAグレードI規格のサーキット。今回のスーパーGT第7戦がこけら落としとなる。もちろんGTドライバーたちにとっても初めての走行であり、金曜日には走行を前に、徒歩でコースをチェックできるコースインスペクションが行われた。
ここで、MUGEN CR-Z GTをドライブする中山友貴と野尻智紀とともに歩行することができたので、フィーリングを聞きながら歩いた。まずターン1からターン2にかけては「広いですね」とふたり。このコースの中でも最長のストレートだが、とにかく長く、コース幅も広い。ターン2の進入も、幾重にもラインが取れそうな雰囲気だ。
ただ、ターン2は出口のコース幅が狭い。少しゆるやかに上りながらターン3へ。ここもターン1、2、そしてターン3と、出口はかなり広い。ここからはインフィールド区間だが、ブレーキングの目印になるようなものも少なく、右~右~右~左と続くコーナーも、「ちょっといやらしいですね」と中山。野尻も「ちょっと苦手そうなコーナー」という。
コの字型に曲がるターン8~9を抜けると、すこし起伏があるS字に入る。「事前は全開でいけると想定していたんですけどね。ちょっと全開ではいけないかも……」と中山。それを抜けると最終コーナーだが、ここはかなり鋭角に曲がる上に、ピットエントリーがある。ピットエントリーはラインにも重なる上にタイトで、ここは多くのドライバーが立ち止まり、「ちょっと厳しいのでは?」と話し込んでいた。
その後行われたフリー走行。2時間のセッションではそこまで多くのアクシデントは起きなかったが、ドライバーたちはどんな印象なのだろうか。多く聞かれたのは、「シンプルなレイアウトだけど、楽しいコース」という印象。ただ、「単独で走ればですけどね(中嶋一貴)」という。ターン1~3までは直線~ヘアピン~直線なのだが、その後のインフィールド区間では、GT500マシンはGT300を抜くのにかなり苦労しそうだという。「複合コーナーが多いし、ブレーキングポイントも分かりづらいので、慣れるのに苦労しました(松田次生)」という声もあった。
また、ターン1~2の直線は、GT300では「かなり長い」という声も多い。ターン2は、事前の視察どおり「入口、出口、真ん中、全部サイズ幅がばらばらで特殊(吉本大樹)」という。コース後半は「ハイスピードで切り返したりとか、高速コーナーでブレーキしてその後も中高速で切り返して、みたいなところは面白いですね(荒聖治)」という声も聞かれた。「エスケープも広くてクルマも傷まないので攻めがいもあります(加藤寛規)」というのも安心材料のようだ。
ただ、走り出しということもあり、路面はスムーズではあるものの、「路面が完全に出来きってっていないと思うので、路面ができてくると僕らとしては良くなる方向になりますね。今はタイヤへのダメージもあり現状だと厳しい(小林崇志)」、「舗装も新しいしラインを外すとダスティなので、GT500のマシンも混ざってレースが始まった時などは気をつけなくてはいけない(中山)」と、タイヤへのダメージはかなり強い様子だ。このあたりは週末に向けて好転していくだろうが、スコール等が来てラバーが流れた場合、再びコンディションが変わる可能性もある。
「イン側の縁石が低く、カットするクルマもいるので、ダストがすごかったですね。まだ新しいサーキットなので、コンディションの変化はストリートコース並みに大きい(吉本)」
ちなみに、GT500クラスでは金曜走行ではマシンによって大きく差が出たが、コース前半区間での加速でかなりの差が出た様子。パワーに依存するものなので、この週末の勢力図にかなり影響することになるかもしれない。