2014年10月03日 22:41 弁護士ドットコム
お笑い芸人のエド・はるみさんに対する根拠のない誹謗中傷に対して、法的措置を講じていく――。エドさんに関する法的手続を受任した最所義一弁護士は9月30日、所属する港国際法律事務所のサイトで、このように宣言した。
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ホームページ上に記載された内容によると、エドさんに対しては、根拠のない誹謗中傷がネットに書き込まれる状況が何年も続いているという。エドさんは、自身のブログで、「匿名や誰が書いているのか分からない状態での全く事実ではないこと、身に覚えのない事を際限なく書かれ続けることにとてもとても、苦しんで来ました」と告白している。
今回、弁護士がいう「法的措置」とは、具体的にはどんな手段なのだろうか。そして、なぜそのことをネット上で「宣言」したのだろうか。最所弁護士に聞いた。
――なぜ宣言文を出したのだろうか?
「守秘義務がありますので、今回の件に関する具体的なお話は一切できません。お伝えできることは、ホームページ上に掲載した事実のみです。
ホームページ上に記載しているとおり、エド・はるみさんから法律事務の委任を受け、受任した『弁護士』である私が、『弁護士』の対応として速やかに法的措置を講じていく考えであることを表明したものです。エド・はるみさんに対する、根拠のない誹謗中傷行為がこれ以上、繰り返されないために、『弁護士』としての対応を明らかにしたかったのです」
――エドさんには、どんな被害があるのだろうか?
「この点についても、ホームページ上に記載しているとおり、芸能界の先輩に対して横柄な態度を取ったなどという、何ら根拠のない記事が広まってしまったせいで、あたかもそれが真実のように、多くの人に受け止められてしまっています。
しかし、これは真実ではありません。私は、本人だけでなく、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに対してもきちんと確認しましたが、そうしたことが真実だと認められるような事実は、一切存在していませんでした。
エドさんはそのような誹謗中傷で、耐えがたい精神的な苦痛を受けています。これは、単にタレントとしての活動に支障があるという問題ではないのです」
――エド・はるみさんは「芸能人」だ。ある意味、有名税のようなものがあるのでは?
「今回のエドさんの件ということではなく、あくまでも一般論としてですが、いくらタレントだからといって、いかなる誹謗中傷も我慢しなければならないわけではありません。
芸能人は、メディアなどで幅広く活動しています。そのため、一般の方とは異なる立場にある人に対する正当な言論として、批判的な書き込みが許容される場合があります。
ただし、それは、あくまでその内容が事実であることが前提です。事実に基づかない、たんなる憶測に基づく批判は『正当な言論』ではありません」
――法的手段というのは、具体的には何だろうか?
「この点についても、今回のエドさんの件ということではなく、あくまでも一般論としてですが、ネット上に誹謗中傷を書き込むことは、名誉毀損に該当する場合があります。また、書き込まれた内容によっては、プライバシー権の侵害にあたる場合もあるでしょう。
さらに、エド・はるみさんのような芸能人については、書き込まれた内容によっては、その人の持つ『経済的価値』が侵害されることもあり得ますので、その意味では、パブリシティ権の侵害と言える場合もあり得るでしょう。
こうした権利侵害を理由に、人格権に基づく差止請求や不法行為に基づく損害賠償を求めることが考えられます。
もちろん言論の自由は最大限保障されなければなりませんが、言論には責任を伴います。何ら具体的な根拠に基づくことなく、無責任な発言によって生じる権利侵害を見過ごすことはできません」
――誹謗中傷をしている相手が誰かを特定することはできるのだろうか?
「発信者を特定するためには、掲示板などを運営するインターネット事業者に、書き込んだ人のIPアドレス、タイムスタンプなどの情報を開示することを求めることになります。具体的な手法としては、裁判所に対して、発信者情報の仮開示を求める仮処分申立をすることになるでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
最所 義一(さいしょ・よしかず)弁護士
東京大学農学部農業工学科(現生物環境工学科)を卒業後、IT技術者や病院事務職(事務長)を経て、弁護士に。一般企業法務や知的財産問題のほか、インターネット関連のトラブルの解決に精力的に取り組んでいる。
事務所名:弁護士法人港国際法律事務所
事務所URL:http://minatokokusai.jp/