私が採用担当を務める会社では、数年前から大卒採用と並行して「高卒採用」にも力を入れています。私はこの高卒採用に、大きな希望を見出しています。
1991年に25%を超えた大学進学率は、2011年には51.0%と半数を超えました。いまは入学希望者の数が定員数を下回り、誰でも入れる「大学全入時代」とも言われます。そんな状況下であえて高卒で就職を希望する意思決定を、私は貴重だと思っています。
「素直さ」備えた人材を獲得できる可能性も
当然、本人にも色々な思いがあることでしょう。「勉強嫌いだから、これ以上学校に行くよりも働こうと思って…」という本音を聞いたこともあります。私も学校の勉強は嫌いだったので、気持ちがよく分かります。
「うちの家計では、大学なんかとても望めないんです。家族のためにも、私も働くと決めていました」
という高校生もいました。18歳の若者が私の目を真っ直ぐに見て、はっきりと言うのです。私が彼らと同じ年頃には、このようなことは考えたこともありませんでした。私と比べられても嬉しくないでしょうが、その決意には頭が下がります。
高卒採用を本格化してから、私は何度もこのような経験をしており、決して珍しい事例ではありません。誰でも大学に行ける時代だからこそ、高卒で就職しようとする人の中には、立派な学生がきっといる気がしてなりません。
高卒で入社する若者の傾向として、ひとつ大きな特徴があります。それは「素直さ」です。言われたことは一所懸命に守ろうとします。
採用時に重視することで「素直さ」を挙げる企業は少なくありません。採用活動をしていて、その特質を備えている人材を多く見受けるのは、高卒採用だと感じています。
とはいえ、確かに高卒だからこそ、気を付けてあげなければならないこともあります。どれだけ覚悟を決めて就職を選んでいても、まだ18歳の若者ですから、社会人や労働者としての意識がまだ弱いところがあるのは、仕方のないことです。
文系採用であれば特にオススメ
未熟な未成年を受け入れれば、採用担当者は入社後も何かと気にかけ、声をかけてあげるフォローは欠かせません。必要があれば一緒にご飯に行き、話を聞くこともあります。仕事の仕組みや業務量、先輩や上司の対応なども変える必要があるかもしれません。
しかし、このような個別対応は、今どきの若者であれば大卒も同じで大差はありません。特別な能力や知識を求める理系採用は別ですが、文系採用であれば高卒採用に力を入れることで、良い人材に出会う確率を高める可能性があると、私は考えています。
18歳で就職し、4年働けば大学新卒者と同じ年。その時点ですでに彼らは4年のキャリアを持ってくれています。先のことを考えると、戦力でい続けてくれる時間が長いことは、私たちにとってもありがたいことです。
日本の採用担当者のみなさん、経営者のみなさん、高卒採用をしませんか? 周りの人が当たり前のように大学に行く中で、「自分は就職する」という意志決定をした18歳の若者に会ってみてください。目が覚めるような出会いがあるかもしれませんよ。
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