ケータハムが小林可夢偉とマーカス・エリクソンのラインナップで日本GPを戦うと発表したことを受けて、急きょ東京・八重洲で小林可夢偉の記者会見が開かれた。
まず鈴鹿への抱負を聞かれた可夢偉は「(アンドレ・ロッテラーが出場した)スパから、僕としてはかなり辛い状況が続いていますが、日本GPを走れるという正式なリリースが出たので、ひと安心。日本でF1という場に戻ってレースすることを目標にしていたので、うれしく思います」とコメント。
「前もってニュースが出ない場合は乗れるのかなと考えて、ひかえめにモチベーションを上げていました」と、日本GP出場へ向けてトレーニングを続けていた可夢偉。本日チームからリリースが出たものの、直接シートについての連絡はなかった。ケータハムは同時にフリー走行1回目でロベルト・メリを走らせると発表しているが、それが可夢偉のマシンになるかどうかは「鈴鹿に行ってからのお楽しみ」だという。
鈴鹿は、可夢偉にとって特別な場所だ。
「鈴鹿という場所には、常にF1の思い出がある。2009年に鈴鹿のプラクティスを走ることになって、そこからF1ドライバーとしてのキャリアがスタートした。2010年はF1でオーバーテイクが難しいと言われながらも、あそこ(ヘアピン)でしか抜けなくて、そこで抜いていたら、次の年には大きなスタンドができていた(笑)。2011年は予選は良かったんですけどレースは戦略がうまくいかず、2012年は何度も表彰台に乗れるチャンスはあったんですが不運もあり失敗もあり、最終的に表彰台に乗れた場所が鈴鹿ということで思い入れもある」
昨年はレギュラーシートを失い、今季はフル参戦のはずがチーム体制の変更にともなう混乱により、直前まで日本GPに出場できるかどうかはっきりしなかった。
「みなさんのサポートのおかげで、運命だなと思う。まずファンのみなさんに帰ってこれたことを感謝したい」と可夢偉は強調した。
ケータハムは、鈴鹿に向けて新しいフロントウイングを投入。新チーム代表のマンフレディ・ラベットはマルシャだけでなくザウバーやロータスとも戦えると発言している。それに対して、可夢偉は「ザウバーは基本的に鈴鹿は速いと思うので、結構厳しいですね。そこを食えたら奇跡です。僕がスーパーマンとしか思えないです」と過剰な期待を牽制しつつ、具体的な目標を問われると「マルシャとの戦いを制するしかない」と語った。
「何より、鈴鹿を走るということが僕にとっては意味がある。来年はホンダさんが(F1に)帰ってきてくれるということで、なんとかそこにつなげられたという気持ち」と続け、目前の日本GPへ集中しながら2015年のシートへの意識も感じさせた。
最後はファンへのメッセージとして「この1年すべては言い表せない厳しい場面もあった。でも、悪いときでも自分のなかでは、そこそこ良いパフォーマンスを出せたかなと。自分なりに引き出しも増えたと思う。ここまで来れたという……“気持ち”が出るようなレースになればいいし、こうなったら楽しむしかない。ファンのみなさんと楽しんで、この週末を過ごしたい。月曜日まで!」と締めくくった。