30日、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で、スーパーGT×DTMドイツツーリングカー選手権×北米IMSAの代表が、今後の三者の方向性について協議する『ステアリング・コミッティ』が開催され、2017年に、完全に両者の規則が統合されることが明らかにされた。
このステアリング・コミッティは、統一した車両規定を採用するスーパーGT、DTM、今後新シリーズ立ち上げを目指す北米IMSAの三者の代表、そして各参戦メーカーの代表者が集まり、今後の方向性等を話し合う会議。第1回は昨年8月にDTMノリスリンクで開催され、第2回は今年1月に、ユナイテッド・スポーツカー開幕戦の舞台となったデイトナで開催された。
日本で初めての開催となった第3回ステアリング・コミッティには、スーパーGT側からGTアソシエイションの坂東正明代表、JAF日本自動車連盟の樋山良毅氏、トヨタの代表としてトヨタ・モーターセールスマーケティングの高橋敬三氏、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナルの宮谷正一社長が出席。ホンダの代表者は所用のため会議には出席したものの、その後の記者会見は欠席となった。
一方、DTM側からはITR代表のハンス-ベルナー・アウフレヒト代表をはじめ、ドイツの自動車連盟にあたるDMSBのクリスチャン・シャフト氏、アウディスポーツのヴォルフガング・ウルリッヒ代表、BMWモータースポーツのイェンス・マルカルト代表、メルセデスのモータースポーツ代表を務めるトト・ウォルフという蒼々たるメンバーが揃った。ただ、IMSA側から今回の出席はなかった。
会議に続いて行われた記者会見では、その日に決議された項目が明らかにされた。最も大きなものとしては、スーパーGT500車両、そしてDTMの車両について、完全な規則統合が合意に至ったということだ。これまで、DTM側では自由なエンジン開発に難色が示されていたと言われていたが、今回のステアリング・コミッティで両者が合意。DTM側で17年に2リッター直4ターボを採用すること、現在両者で採用されている共通パーツ等の見直しが行われることになった。
また、この3シリーズで採用される規定については、これまで『統一規定』といった呼ばれ方をしていたが、新たに『クラス1』という名称がつけられた。今後は17年に向けてクラス1規定の下で詰めが進められ、今後スーパーGTとDTMでの世界一決定戦といったイベントの開催が模索されていくことになる。
「この統一規則の名称が決まり、『クラス1』というグランドツーリングカーの頂点を目指す名称にします。また、相互シリーズの交流、統一の世界一決定戦の開催に向け近づきました。この規則の中で、今後も魅力あるシリーズを作っていきたい」と語ったのは、GTA坂東代表。
また、同席したITRのアウフレヒト代表も、「今回の会議の成果についてはとても満足している。この協力関係が次のフェーズに移る準備ができた。今の段階では異なるエンジンを使っているので、同じレースに出場することはできない。しかしその状況は、バンドウさんから説明があったとおり、2017年に変わる」と規則の進展を喜んだ。
「この規定統一を、具体的なステージに移す時がきた。車両が技術的に同じステージに立っている以上、どのメーカーも競い合いたいのは当然だし、多くのファンが待ち望んでいることだ。協力したイベントを開催するためにはまだ多くの決定事項が必要で、先の事だ。ただ、見通しは明るいと私は思っている」
「統一規則については、モータースポーツの技術の最高峰として、世界の模範となる安全レベルを示したものと確信している。1/100秒、1/1000秒を競うレースが可能で、すでにDTMでもわずかな差でグリッドが大きく変わる。これはファンの皆さんが待ち望んでいるものだ」
「この技術規則に基づいたレースが、2017年にドイツに出現する。メーカーはクラス1車両である週はドイツでレースをし、次の週に鈴鹿で、その次の週にはデイトナでレースに出ることが可能になるんだ」
ファンにとって大いに気になる部分としては、GT500に参戦するメーカー、DTMに参戦するメーカーの車両が競い合うことだ。これについては、今後スーパーGT、DTMとは別の、単独のイベントとして、タイヤ等も含め完全に合わせたレースを開催する話が出たと坂東代表は語る。また、ドイツメーカーのGT500参戦についても、非常に積極的な姿勢が示されたという。