2014年09月29日 20:21 弁護士ドットコム
お目当ての商品が安く手に入ることもあるネットオークション。宝探しのようなわくわく感も相まって利用している人も多いだろう。しかし、落札者と出品者の間で、トラブルも発生しているようだ。中でもよく見かけるのが「新品」のはずが、そうでなかったという話だ。
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ネットには、「新品ソフトと書いてあったのにパッケージが開封されていた」「新品未開封のCDを落札したら開封済みだった」「未開封のはずのフィギュアがホコリまみれだった」といったトラブルが、繰り返し報告されている。
使った商品が「中古」になるのは明白としても、なかには「箱を開けただけで使っていない」といったケースもあるだろう。「新品」は、どの時点で「中古」になるのだろうか。たとえば、市販の音楽CDは、パッケージを開封しただけで、一度も再生していなくても「中古」になってしまうのだろうか。消費者問題にくわしい福村武雄弁護士に聞いた。
「商品が、どの時点で新品から中古品となるのかについて、細かく明確にした裁判例はないと思います」
福村弁護士はこう指摘する。商品を使えば中古になるが、『具体的に何をすれば使ったことになる』のか、法的に明確な線引きは難しいようだ。
それでは、パッケージを開封済みだが、一度も再生していない音楽CDを、「新品」としてネットオークションに出すのはダメなのだろうか?
「そこは、考え方によるでしょう。
たとえば、『新品』と記載する以上、一般の店舗で購入した場合と同様の状態の商品であるべきだと考えることもできます。
そう考えた場合、購入者がパッケージをはがした時点で、店舗で購入した状態と異なる以上、新品とは言えないと思われます。
この考え方でいくと、パッケージを開封した商品を新品と称して販売した人は、相手から『債務不履行だ』と主張されて、契約を解除されても仕方がないということになるでしょう」
つまり、「約束違反だから、お金を返せ」といえるというわけだ。
「商品によっては、そうした考え方が当てはまらないケースもあるかもしれません。
しかし、パッケージを開封したものを新品と称してオークションに出品することは、無用なトラブルを招く危険性がありますので、やめたほうがよいと思います」
福村弁護士はこのようにアドバイスを送っていた。開封済みなら「開封済み」と、たとえ数分でも使用したならその旨を、しっかり表記しておくのが、誠実な取引というものだろう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
福村 武雄(ふくむら・たけお)弁護士
平成13年(2001年)弁護士登録、あすか法律事務所所長
関東弁護士連合会・消費者問題対策委員会元副委員長、埼玉弁護士会消費者問題対策委員会元委員長、安愚楽牧場被害対策埼玉弁護団団長
事務所名:あすか法律事務所
事務所URL:http://www.asukalo.com