2014年09月29日 12:51 弁護士ドットコム
世界的に注目を集めた「スコットランド独立」の是非を問う住民投票。直前の世論調査では賛成派がわずかにリードするなど、にわかに独立への機運が高まっていたが、結果は、反対55.3%に対して賛成44.7%。独立は否定された。
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英国からのスコットランド独立は否定されたが、今回の出来事は、ヨーロッパの他の地域にも影響を与えている。報道によると、スペイン東部・カタルーニャ自治州の議会が9月19日、独立の是非を問う住民投票のための法案を可決したそうだ。投票日は11月9日という。
日本にとっても関係がない話ではない。かつて琉球王国だった沖縄県には、日本からの分離独立を主張する政党が存在する。また、11月の沖縄県知事選には、『沖縄の独立』を公約に掲げる候補が出馬する予定だ。
あくまでも仮の話だが、もし沖縄県民が投票で「日本から独立したい」と決議したとしたら、日本から独立できるのだろうか。法的には、どう考えたらいいのだろう。地方自治の問題にくわしい湯川二朗弁護士に聞いた。
「地方自治体が独立することは、今の日本の法律では予定されていません」
湯川弁護士はこう述べる。予定されていないというのは、どういう意味だろうか。
「日本国憲法は、『地方公共団体の組織および運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める』としており、これを受けて地方自治法が定められています。
しかし現在、地方自治体の独立を予定した条文はありません。したがって、現在の法律では、地方自治体の独立は法的に認められないでしょう」
自治体の組織・運営は、地方自治法という法律でしっかりと決まっていて、それ以外のことはできないということだ。
現在の法律では・・・ということは、将来的にはありうるのだろうか?
「国が認めれば、地方自治体が独立できる可能性はあります。
たとえば、『住民投票』や『議会の議決』などを条件として、国が地方自治体の独立を承認するという法律があればよいのです。
そうすれば、スコットランドのように、住民投票の結果によって独立することも可能となります。
しかしこの場合も、あくまで『地方自治体の独立を承認する法律』が制定されることが前提です」
結局のところ、合法的に自治体が独立するためには、さきに法律を改正しなければならないということのようだ。
「ただし、今まで述べたのは、あくまでも『国内法的には』ということです。
世界に目を転じるならば、その国の国内法では認められていない独立運動は数多くあります。
独立運動が、諸外国から『国家』として認められ、結果として国家として扱われるようになったという事例もあります。
結局、自治体の独立というのは国内法の問題ではなく、政治の問題であり、国際法の問題であると言ってよいでしょう」
湯川弁護士はこのように結論付けていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
湯川 二朗(ゆかわ・じろう)弁護士
京都出身だが、東京の大学を出て、東京で弁護士を開業。その後、福井に移り、さらに京都に戻って地元で弁護士をやっている。なるべくフットワーク軽く、現地に足を運ぶようにしている。
事務所名:湯川法律事務所