世界ラリークロス選手権第10戦は9月28日、イタリアのフランコルシャン・インターナショナル・サーキットでファイナルが行われ、ペター・ソルベルグ(シトロエンDS3)が3位でフィニッシュし、初代世界ラリークロスチャンピオンの座を確定させた。
前日、エンジンブロックにヒビが入りオイル漏れをするトラブルに見舞われ、夜を徹しての作業で修復し挑んだペター・ソルベルグ・ラリークロス・チーム。仲間の奮闘に応えたペターは、ヒート3をトップフィニッシュ。ヒート4でも2位につけて、中間リザルトでは3位に浮上してセミファイナルに進出した。そのセミファイナルも2番手タイムをマークして、ファイナルはファーストローからスタート。一方、選手権2位のトーマス・ヘイッキネン(フォルクスワーゲン・ポロ)、3位のレイニス・ニッティス(フォード・フィエスタ)はファイナル進出を逃したため、ペターはファイナルで3位以上に入ればタイトルが決まる。
そのファイナルでは、ティミー・ハンセン(プジョー208)も、世界ラリークロス初優勝をかけてポールポジションからロケットスタート。ペターは第1コーナーを3位でクリアする。2位につけていたティマール・ティマラザヤノフ(プジョー208)がコーナーで膨らむと一気に2位に浮上。しかし、ラップ3で大ジャンプの後の衝撃でダンパーを破損してしまう。その後の右コーナーでは右リアが沈み込んでしまう状態に。
それでも、今回のペターには運が味方した。他車にもアクシデントが発生しており、この段階で走行を続けていたのは4台。しかも4位のティマラザヤノフは左フロントのタイヤがバーストし、ホイールだけでの走行を続けていた。満身創痍のマシンをギリギリいたわりながら3位でフィニッシュしたペターは、念願の初代世界ラリークロスチャンピオンの座を射止めた。異なる4輪カテゴリーで2つの世界タイトルを獲得するのはペターが初めてだ。
「夢を追い続けること、これが僕のモットーだ」とペターは、フィニッシュ後には歓喜の涙も見せた。「その夢が、まさに今かなったんだ。これ以上うれしいことはないよ! 今は言葉にならない。また世界チャンピオンになることができた」
「本当にチームのみんながよくやってくれた。冬も春も昼も夜も、ワークショップで家族のように毎日を過ごしてきたんだ。シーズンが始まってからは、愛する家族とも離れての遠征が続いた。自分たちで作り上げたチームで、ワークスチームを相手に戦ってきたんだ。パニラ(夫人)とオリバー(息子)がノルウェーのクロスカート選手権参戦のためにイタリアに来られなかったのだけが残念だ」
「2年前、新たにラリークロスへの挑戦を始めて、今、世界チャンピオンになった。他のカテゴリーに参戦する選択肢もあったけど、大好きなラリーにも通じるのはラリークロスしかなかった。世界戦になる計画があると聞いて、すぐに決めたよ。世界ラリークロスがなければ、ラリークロスには来ていなかったと思う。また世界チャンピオンになりたかったからね」