スーパーフォーミュラ第6戦SUGOで初優勝を飾った野尻智紀(DOCOMO DANDELION) 全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦は28日、宮城県のスポーツランドSUGOで68周の決勝レースが開催され、スタートでトップを奪ったルーキーの野尻智紀(DOCOMO DANDELION)が戦略を決め嬉しい初優勝を飾った。
秋晴れに恵まれ、絶好のレース観戦日和となったスーパーフォーミュラ第6戦SUGO。やや陽が傾き始めた15時、気温23度、路面温度37度というコンディションの下、フォーメーションラップのスタートを経て、非常に重要と言えるスタートが切られた。
スタートはいきなり大波乱の展開となる。ポールスタートの山本尚貴(TEAM無限)がわずかに遅れるが、それ以上にスタートをうまく切ることができなかったのは3番手スタートのアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)。ロッテラーは一気に後方集団に飲み込まれてしまう。
続く2コーナー、ジョアオ-パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)が接触しスピン。姿勢を乱したオリベイラはイン側にスピンしてしまうが、そのオリベイラの車体に、ロッテラーと最後列スタートの伊沢拓也(DRAGO CORSE)が乗り上げ宙を舞ってしまう。幸い3人のドライバーに怪我はなかったが、車両回収のためセーフティカー導入。ランキング1位、2位がいきなりリタイアに終わってしまった。
一方、スタートを決めトップに立ったのは、ルーキーの野尻智紀(DOCOMO DANDELION)。4番手スタートのジェームス・ロシター(KONDO RACING)が2番手に続き、山本は3番手に。同様にスタートを決めた中嶋一貴(PETRONAS TOM'S)が4番手、石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が5番手に続いた。
序盤、トップに立った野尻は堂々たる走りで首位をキープ。一方、2番手ロシターと3番手山本はあまり間隔が広がらず、膠着状態になっていくが、6番手ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO)を追っていた塚越広大(HP REAL RACING)が14周目、レインボーコーナーでコースアウト。この時はコースに復帰し、そのままピット作業を行うが、ピットアウト後最終コーナーで姿勢を乱すと、スポンジバリアにクラッシュしてしまう。
この処理のため再びレースはセーフティカー導入に。この間に、上位陣はピットに向かうが、この中でポジションを上げてきたのは一貴、デュバル。一方、山本とロシターはポジションを落としてしまった。
一方で、SC中にステイアウトを選択したのは国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、中山雄一(KCMG)、中山友貴(TEAM無限)。22周目にリスタートとなるが、中山友貴(TEAM無限)を1コーナーで野尻、一貴が一気にパス。中盤、レースは未ピットの国本、中山雄一、そして野尻と続く展開となった。ただ、1ピット組は燃料を積んでいるためか、なかなか国本、中山雄一の攻略までは至らない。終盤に向け、国本、中山雄一がいつピットに向かうのかに焦点が集まっていった。
しかし、トップの国本、2番手の中山雄一は終盤までピットストップを引っ張っていく。事前には考えづらいと言われていた無給油が実現するのか……? と思われたが、60周目に国本はピットへ。ただ、トップに立った中山雄一はピットに向かわない。
この様子を見たか、63周目に2番手の野尻はトップを奪い取るべく一気にペースを上げていく。これに対して中山雄一もペースを上げるが、残り3周というところでやはり燃料がもたなかったか、パワーが一気に落ちてしまう。中山雄一はなんとかピットには帰り着いたが、大きくポジションを落としてしまった。
これでトップに返り咲いたのは野尻。終盤、一貴がプレッシャーをかけていくがまったく動じず、嬉しいトップチェッカー! 全日本F3時代は王座を獲れず苦しんだ野尻が、スーパーフォーミュラ参戦初年度で、実力で初優勝を遂げることとなった。2位は一貴で、これでランキング首位に浮上。3位はデュバルとなった。ちなみに、ホンダエンジンは今季初勝利。また、今季日本人ドライバーで優勝したのは一貴に次いでふたりめとなっている。