投資ブログ「Market Hack」の9月25日付けエントリー「就活生のための『厳選』外資系企業マル秘リスト」が、ネットで話題になっている。米投資顧問会社でマネージング・ディレクターを務める広瀬隆雄氏が挙げたのは、日本法人を設ける31社だ。
外資系企業は一般に日本企業より給与相場が高いといわれており、確かに魅力的な就職先に見える。しかし日本企業とは文化も違えば、本国との関係もある。求職者はどんなところに注意して検討すればよいのか。外資系企業に詳しい転職エージェントに聞いてみた。
3割高い給与は「解雇リスク」のプレミアム
ブログにあがった会社には、ナイキジャパンやワーナー・エンターテイメント・ジャパンといった一般的な知名度の高い企業のほか、「日本メドトロニック」(医療機器)や「イーストマン・ケミカル・ジャパン」(化学)といった聞きなれない会社も少なくない。
しかし広瀬氏はリストアップした企業について、「いずれも日本の感覚で言えば『東証一部上場企業』に匹敵するような優良企業です」と太鼓判を押している。
「機関投資家のお眼鏡にかなう、しっかりした財務内容を持つこれらの企業は、長年勤め上げることが出来る『寄らば大樹』的な安定感を持っているし、転職する際も、それぞれの業界で存在感を持つ企業なので、後々『つぶし』が効きます」
この記事に対してネット上で「参考になる」と評価する声もある一方、「新卒育てるような風土はないなぁ…」「よっぽどバイタリティのある人じゃないときついんじゃ」という声も寄せられている。実際のところはどうなのだろうか? 自らも外資系金融機関で勤務経験のある転職エージェントA氏はこう話す。
「確かに外資系企業は研修制度なども充実しておらず、OJTなど実践で鍛えるのが特徴ですね。給与は日本企業より平均3割程度高いのですが、それは解雇されるリスクプレミアムだと思ったほうがいいでしょう」
手とり足取り教えてくれる日本の大企業と比較して、自分で進んで学んだり、コミュニケーションを取ったりするなど、主体的な姿勢が必要ということだ。
日本を「植民地」のように思う本国エグゼクティブも
外資系企業の日本法人は、採用数を絞り込むところも多いが、営業リソースが必要な会社では積極的に数を取る傾向にあるという。
「GEジャパンやメディカル系の企業などは、比較的採用者数も多く、結果さえ出せば給与も付いてきます。英語を使いながら経験が積めるので、グローバル人材を目指したい人にはよい選択肢ではないでしょうか」
ただし、外資系企業には独特の文化があり、日本企業以上に職場環境のリサーチが必要だ。実際、A氏が新卒で入社につなげた20代女性は、広瀬氏のリストに挙がっていた外資系ホテルに就職を果たしたが、体育会系の社風に耐え切れず離職してしまった。
日本法人の売上貢献度も、外資系企業選びの大事なポイントだ。A氏は目安として、グローバルでの売上の10%以上を稼いでいることをあげる。
「本国エグゼクティブの中には、日本のことを植民地のようにしか思っていない人もいます。特に売上10%未満だと、日本法人の意見がまったく通らないとか、待遇が悪かったり、撤退リスクが高かったりします」
たとえばアフラックの収益は、ディスクロージャー資料によると77%以上が日本からのもの。社員数は4000人を超えており、日本の大企業とヒケを取らない。キャリコネに寄せられたアフラックの口コミには、20代の女性から「残業した分はきちんと払ってくれます」「出産等のライフスタイルにとても寛容」といった評価の声がある。
力のない日本法人であれば、こうはいかない場合もあるだろう。なお、平社員のうちは日本語で業務ができても、「管理職以上になると本国とのやり取りも発生するので、ビジネス英語ができるようにならないと上へは行けない」(A氏)という。そのあたりの覚悟も必要だ。
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