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「面接では短所を素直に言うな!」と指導する大人を信じてはいけない

2014年09月26日 12:40  キャリコネニュース

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「面接で短所を聞かれたら、素直に言ってはいけない」。いまだにこのような指導をしている就活講師がいます。しかし、面接で本音を隠しながら会話をされ続けると、「どんな人なのか?」分からないまま終わってしまいます。

「どれだけ会話しても人柄がわからない…」と思うと、落とす判断をするのが採用担当者です。短所を聞かれたら、ご自身の短所を素直に話すことをお勧めします。実は、その方が良い企業とご縁がつながりやすくなります。

しかし最近では、間違った指導のせいか、素直に答えない人が増えているのが現状です。私が出会った「悪い実例」を、いくつか挙げてみます。(文:河合浩司)

何気なく「長所アピール」につなげる手法は印象が悪い

最近、増えてきたのは「短所は優し過ぎるところです」といった、短所かどうか分からない言い方をする就活生です。短所を素直に話すことにある種の怖さを感じるのは分かりますが、「それ短所なのか…?」と疑問を抱く答えを言われると不信感が募り始めます。

また、「短所は長所の裏返しで…」と言葉を濁す返答もよく聞きます。短所を言いながら「これはこういう長所にもつながっています」と勝手に締める答え方もありますが、これでは自分勝手な印象を採用担当者に持たれてしまいます。

「短所は頑固なところです。僕はあきらめが悪く、往生際が悪いところがありますが、むしろこれは粘り強さという強みにもなると考えています。最後まで粘り強く取り組むあきらめない性格を活かして、御社で働きたいと思います」

典型的なテンプレートが、上記の例です。さらに具体的にバイトやサークルで苦労したエピソードなどを挟みながら、いつの間にか長所のアピールに落とし込むのです。

しかしこれでは、質問に対する答えになっていません。上司に「問題点の報告」を求められたのに、いつの間にか「言い訳」で終わらせれば、叱責されるに決まっています。

コミュニケーションの基本は「相手の質問を正確に理解し、相手に伝わるように答えること」です。新卒採用選考時に重視する点で「コミュニケーション能力」が1位であり続ける一つの要因は、こういった荒唐無稽な返答方法が広まってきたことではないでしょうか。

「克服方法への展開」も逆効果

ただ、残念ながらこの手の論法は書籍やセミナーでも流行っているらしく、毎年何人も見かけます。「あぁ、またこの表現か」と私は思うだけですが、知人は「聞く度にちょっとイラッとする」と言っていました。

短所を答える際、「克服方法まで言えば好印象」という指導もよく見かけますが、採用担当者の立場からすると言い訳がましく見えてしまいます。質問されてもいない話題を勝手に展開するのは逆効果です。

採用担当者が、就活生に「自らの長所や短所」を聞くのには理由があります。それは、「自己理解ができているか否か」を確認するためです。言い換えれば、自分の活かし方を掴んでいるかどうかともいえるかもしれません。

したがって、決して短所の中身で採否を決めようとしているのではないことを理解していてください。いくら尋ねても「その人らしい答え」が返ってこないと、「この人は本音で話してくれているのか? このままでは、どういう人なのかが分からないし、ウチの会社に向いているかどうかもわからない…」となり、不採用にせざるをえないのです。

とはいえ、本来は採用側が「短所を尋ねること」自体を控えるべきなのかもしれません。この問いは明らかに、相手が喜んで答える問いではありませんからね。これは、私が批判してきた「挫折経験を尋ねること」に似た構図にも思えますので、採用側が考えていくべきテーマです。

あわせてよみたい:「面接後のお礼状」に意味はあるのか?

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