2014年09月25日 19:11 弁護士ドットコム
人気ロックバンド「X JAPAN」のボーカルをつとめるToshlさんが9月25日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。
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この夏、『洗脳~地獄の12年からの生還』という本を出版したのにあわせた会見で、自己啓発セミナー集団による「洗脳」にはまり、そこから抜け出した経験を語った。
記者からは、そうした体験が、これからの音楽活動に与える影響をたずねる質問が出た。
「X JAPANの歌詞は暗く、悲しいものが多いと思うが、大変な経験をしたあとで、今後の音楽は違う方向性、つまり、若い人を元気づけるような曲にしていこうと考えているか?」。
記者からのこんな質問に対して、Toshlさんはていねいな口調で、次のように答えた。
「X JAPANの楽曲はほとんどがYoshikiによるものです。Yoshikiは、若いときにお父さんを亡くしています。彼の詩をみるにつけ、すべてはそこからきているのではないかと思っています。お父さんへの憧れや後悔、愛というものを、彼は表現しているのではないかな、と。
表面だけポジティブな歌詞は分かりやすいのかもしれないが、誰もがいろいろな痛みや悩み、苦しみや人に言えないことを抱えている。そこから、なんとか一歩でも前へ進んでいこう、なんとか少しでもポジティブに生きていこう。そういう歌詞だと思っています。誰もが持っている痛みから書かれた彼の曲を、僕はとても愛しています」
さらに、いまも多くのファンに支持されるX JAPANの曲について、「一つのアートを作るような気持ちで、本当に戦いながら、苦しみながら、一つの曲を生みだしてきた」と振り返ったうえで、次のように言葉を続けた。
「おそらく、悲しみや痛みや苦しみ、ネガティブなことをベースにしたものであるからこそ、世界中のファンの方々の共感を得ているのかもしれないなと思っています。音楽の表現や言葉というものは、変わっていく可能性があるが、そのベースに抱えているもの、ベースの中心にあるものは、今後も変わらずにいくのではないかと思います」
X JAPANは10月に、アメリカ・ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでコンサートを開く予定だ。かつて海外進出を目指しながら、Toshlさんの離脱などにより10年間も活動を休止することになったX JAPANにとっては、念願のチャレンジだ。
その点について、海外メディアの記者から「ロックミュージックの世界でスーパースターになるのは、20代、30代のときだと言われる。せっかくのチャンスを失ってしまったのではないか?」という厳しい質問がぶつけられた。Toshlさんの答えは次のようなものだった。
「たしかに、『失われた10年』というのが僕にはありますが、あのまま行っていて、本当に世界にチャレンジできたのかは分かりません。もしこうだったらと、いろいろ言っても、時は返ってこない。いままでの時間が必要だったと割り切って考えています。
年齢的にはだいぶ上がりましたが、声の状態も、気持ちの状態も、いまが一番いいのではないかと思います。それなりの時や経験が必要だったのではないか、と。逆に、この年になって、新たなチャレンジができる喜びを、いま感じています」
Toshlさんの記者会見の動画はこちら。
https://youtube.owacon.moe/watch?v=D5KEZ-hA86o
(弁護士ドットコムニュース)