9月24日のNHK「あさイチ」では、「女性SNEP」の実態を特集していた。SNEPとは、Solitary(孤立した)No-Employed Persons(無業者)の頭文字を取ったものだ。
未婚の20~59歳で仕事をしていない人のうち、普段「ひとりでいる」もしくは「家族としか話さない」という人のことを指す。そんな孤立して引きこもる女性が、いま増えているという。
「新しい人間関係」が怖くて他人に相談できない
東京大学の玄田有史教授が総務省統計局の「社会構造基本調査」を分析したところ、SNEP状態に陥っている男女は2001年の85万人から、2011年の162万人と10年で倍近くにまで増加しているという。
あさイチでは、「介護」や「離婚」といったきっかけが原因でSNEPに陥ってしまった女性の例が紹介されていた。
Aさん(36)は新卒で志望企業に入社したものの、鹿児島の実家で祖父が倒れ、介護を手伝って欲しいと家族から連絡があった。Aさんは会社を1年で退職し、地元で介護をしながら就職活動をすることに決めた。
そのときは「仕事はすぐ見つかる」と思っていたというが、いざ就活をすると、1年で退職したことがネックになった。就職に不利になると思い、介護中であることも言い出せず、結局10社受けても採用されずストレスから過食気味になり、徐々にSNEP状態になってしまったという。
Bさん(43)は35歳で離婚。娘と一緒に実家に帰ったものの、近所の好奇の目に耐え切れず、新しい人間関係を作ることが怖くなってSNEP状態となり、8年が経過してしまった。娘の進学費用を稼ぎたいが、履歴書も書くことができない精神状態に陥った経緯をこう明かす。
「人とのつながりがなくて、人に相談することもなかった。追い込まれていくっていうか、思い詰めてしまって。働きたい気持ちはあるが、いざとなるとできない」
既婚女性も「仕事ない主婦って本当に孤独だよ」
番組では、女性がSNEPに陥りやすいきっかけとして「失恋」「職場燃え尽き」「Uターン」「転職」を挙げていた。環境の変化や大きなストレスによって、誰にでも陥る可能性があるということだ。玄田教授は番組で、こう話している。
「甘えという声もあるが、統計などを見ると、親が裕福だからSNEPやニートになっているわけではなく、家族だけで何とかしようとしても限界がある。地域でもサポートする場所が増えてきたので、本人や家族だけで抱え込まないようにしてもらいたい」
玄田教授が2013年1月に出した論文「孤立無業者(SNEP)の現状と課題」によると、特に女性はいちどSNEPに陥ると「就業希望と求職活動の両方に対して消極的になっている」のだという。
その理由は、「就業の期待収益率が低い無業者ほど求職活動・就業希望が弱まる」から。「自分なんて価値がない」「どうせ仕事に就いても大した給料が貰えない」と思うと、就業意欲も高まらないということか。
この番組に対して、ネット上では「自分も他人事ではない」「私仕事辞めたらSNEPになる可能性なきにしもあらず」と、問題を身近に感じた人も少なくない。また孤立問題は、既婚の主婦にも存在するとつぶやく人もいた。
「『孤立している(普段関わる人が家族以外にいない)』かつ『無業である』という点で、専業主婦や子育て専念中の主婦(既婚女性)もSNEPみたいなもんじゃないかと思う。仕事ない主婦って本当に孤独だよ」
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