入賞圏外でレースを終えたチームが、スポットライトを浴びることはほとんどない。しかし、ロータスとザウバーの2チームはシンガポールGPにアップデートしたパーツを持ち込み、ポイントを目指して戦っていた。
どちらも持ち込んだパーツはフロントウイング。しかも、改良した部分も同じである。その場所は、翼端板の外側に取り付けられたフィン(赤色の矢印で示した部分)である。
ただし、ロータスがモンツァ仕様よりも短くなったのに対して、ザウバーは長くなっていた。それぞれ方法は異なるが、フロントのダウンフォースを出すという狙いは同じで、両チームとも直角コーナーが多いマリーナベイ・ストリートサーキットで小気味よくマシンが旋回していた。
12位と13位に終わったロータスのアラン・パルメイン(トラックサイドオペレーションディレクター)は「E22の改善に満足しているし、残りのレースで結果を出せるようにしたい」とコメント。実にモナコGP以来、今シーズン3度目の入賞を目指して決意を新たにしている。
セーフティカーラン明けに、9位でフィニッシュしたニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア)の直後となる13番手を走行していたエイドリアン・スーティルは「ポイントが取れる良い位置にいただけに、水漏れのせいでエンジンにダメージを負う前にストップしろと言われたことは残念でならない」と語っていた。シンガポールでは、ザウバー今シーズン初ポイントの可能性もあったのだ。
今シーズンは下位に低迷している2チームだが、この時期でも細かなアップデートを投入してきた。その点で、マルシャやケータハムとは一線を画している。
(尾張正博)