2014年09月24日 10:41 弁護士ドットコム
「収集できません」という紙が貼られたソファーが、もう3週間も放置されている。横浜市に住むMさんが自宅近くで見かけた光景だ。燃えるゴミやビン・缶などの「一般ゴミ」を置いておく、地域のゴミ回収所に、1人用の白いソファーが捨てられているのだ。「粗大ゴミ」なのでゴミ収集業者が回収せず、そのままになっているようだ。
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横浜市によると、粗大ゴミを捨てるときは、あらかじめ粗大ゴミ受付センターに申し込まなくてはならない。手数料として、1人用のソファーの場合、500円を払う必要がある。近隣住民は「手間がかかるから、そのまま捨てたんだろう」と話している。
このままでは汚いし、邪魔になる。このように「収集してもらえないゴミ」を捨てて、放置し続けるのは不法投棄にならないのだろうか。「闘う住民と共にゴミ問題の解決を目指す弁護士連絡会」(ゴミ弁連)の会長をつとめる梶山正三弁護士に聞いた。
「廃棄物処理法では、『何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)と定められています。『みだりに』廃棄物を捨てることは、不法投棄にあたります」
梶山弁護士はこう切り出した。
「他人の土地や公共の土地・建物・施設などの所有者・管理者の承諾を得ず、その場所に廃棄物を捨てることは当然、不法投棄になります。
管理者や所有者の承諾を得ている場合や、自分の土地や家屋内に廃棄物を捨てる場合でも、『みだりに』という概念に該当すれば、不法投棄は成立します」
キーワードとなっている「みだりに」とはどういうことだろうか。
「『みだりに』とは、廃棄物を捨てることで、他人に迷惑をかけたり、衛生面の問題を引き起こしたりする場合などを広く含みます」
では、今回のようなソファーの放置をどうとらえればいいか。
「ゴミ捨て場は廃棄物を捨てる場所ですが、ソファーは受け入れが認められている廃棄物ではありません。社会的に迷惑をかける行為ですから、不法投棄に該当するでしょう」
やはり放置しているのは良くないようだ。
「ただし、注意すべき点が2点あります。1点目は、放置することが不法投棄にあたるのではなく、そこに廃棄物を置いたこと自体が不法投棄になります。
2点目として、廃棄物が受け入れ対象の品目だったとしても、問題が起きる可能性があります。たとえば、悪臭のひどい廃棄物を持ち込めば、不法投棄に該当する場合もあります」
梶山弁護士はこう指摘した。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
梶山 正三(かじやま・しょうぞう)弁護士
東京都公害研究所職員から転身。関弁連公害環境委員会の委員長を6年務める。宇都宮大、滋賀大、東大、埼玉大等の非常勤講師。2000年~現在、「闘う住民と共にゴミ問題の解決を目指す弁護士連絡会(ゴミ弁連)http://gomibenren.jp/」会長。
事務所名:駒ヶ岳法律事務所