世界ラリークロス選手権第9戦は9月20-21日、ドイツのエステリンクで行われた。選手権首位につけるペター・ソルベルグ(シトロエンDS3)は、ファイナルを0.005秒差で制し、ラリークロス史上、最も僅差での勝利を飾った。
セミファイナルを2番手タイムで通過し、ファイナルではフロントローからのスタートしたペター。直後に迎えるグラベルセクションでの第1コーナーを制することが大きな鍵を握るこのサーキットで、出足はやや遅れたものの、イン側からノーズをねじ込んで巧みに2位につける。その後、首位のマティアス・エクストローム(アウディS1)の背後にぴったりとついていくが、エクストロームがワイドにふくらんだ一瞬の隙をついてリードを奪取する。
その後、2位以下との差を広げていったペターは、最終6ラップ目にジョーカーラップに進入。直後に迎えるフィニッシュラインでは、後方からストレートをエクストロームが激走してくるが、わずかな差で先にラインを越えたのはペターだった。
「スタートはイマイチだったが、(ポールシッターの)ロビン・ラールソン(アウディS1)がミスをしたのを見逃さなかった。それでチャンスがあると思った。でも、2周目には僕たちもインターコムのトラブルがあり、チーフメカニックの声が聞こえなかったんだ。それで何周残っているか分からなくなり、ジョーカーに入るのをためらってしまい、タイムをロスした。ジョーカーを抜けてフィニッシュラインに向かった時、エクストロームが見えた。ラインを越えた時は、どっちが勝ったのかも分からなかったよ」
一方、DTM王者としてもドイツで高い人気を誇るエクストロームは、歴史的な僅差で母国戦勝利を逃した。「負けるとしても、それが1000分の5秒差なら、悪くはないね」とエクストロームは苦笑。「もちろん、アウディのためにドイツで勝ちたかったけど、2台がポディウムに上がったんだから、いいリザルトだ。勝利は金では変えない。懸命な努力でつかむものだ。ペターはそれをやってきたんだ。僕も2位に入れてうれしいよ」
3位には、チームメイトのポンタス・ティデマンドが入った。
一方、選手権争いでは、選手権2位でペターを追っていたレイニス・ニッティス(フォード・フィエスタST)が4回のヒートでいずれも10位圏外に終わり、セミファイナル進出を逃すという大波乱。ニッティスが今戦で獲得した選手権ポイントは1にとどまった。一方、昨年のGRCチャンピオンで選手権3位につけていたトーマス・“トッピ”・ヘイッキネン(フォルクスワーゲン・ポロ)は、ファイナルで5位に入り、選手権2位に浮上。今季3戦を残して、ペターの選手権リードは、52ポイントに広がっている。
世界RXの次戦は9月27-28日、イタリア、フランシャコルタ・インターナショナル・サーキットで開催される。
白熱の展開となったファイナル、ジョーカーラップ明けに必死で最短ラインをつないだペターが僅差を制した。