F1シンガポールGPの予選が終了してから2時間が過ぎた深夜0時ごろ、ケータハムのスタッフが続々とチームホスピタリティハウスに入っていった。セッティング変更などを夜通しで行う金曜日であれば夕食を食べに来る時間だが、予選終了から3時間半後にパルクフェルメ状態が開始される土曜の夜は、メカニックはそれ以後サーキットにいてもやることがほとんどないため、ほとんどのチームスタッフが早めにサーキットを後にし、地元の食事を楽しむことが多いのだ。
では、なぜケータハムのスタッフはチームホスピタリティに集められたのだろうか。それは、イタリアGPレース後にクリスチャン・アルバースに代わってチーム代表となったマンフレッディ・ラベットがスピーチを行うためだった。スピーチは約45分間に渡って行われ、深夜1時に終了。ホスピタリティハウスから出てきたスタッフの表情は、どこかこわばっていたように見えた。
さらに広報にミーティングの内容を尋ねると、首脳陣のひとりがそれを阻止する始末。これはただごとではないとラベットを直撃した。するとラベットは「これはただのミーティングで、チームの結束力を強くするために行っただけだ」と説明するのみ。しかし、普通のミーティングでないことは、チームのある関係者が「いままで、こんなミーティングはしたことがない」と語っていることでもわかる。
もうひとつ気になるのは、このミーティングにはレースエンジニアやメカニックだけでなく、ケータリングスタッフも全員集合していたが、ドライバーとそのマネージャー、フィジオは参加していなかった。しかも、ラベットのスピーチがエンジニアミーティングの途中で開始されたため、ドライバーはガレージ側にあるエンジニアルームで担当エンジニアの帰りを待たなければならなかったのである。つまり、ドライバーを除外し、エンジニアとのミーティングよりも優先するほど、重要なスピーチをラベットは行っていたことになる。
それが、どんな内容だったのか。いずれ知るときが来たら、お伝えしたい。
(尾張正博)