2014年09月21日 12:41 弁護士ドットコム
一攫千金も夢ではない? メッセージアプリ「LINE」で使うためのスタンプ(イラスト)を、一般人でも販売できる「クリエイターズ・マーケット」が好調だという。
【関連記事:「失われた10年」の負の遺産? 景気がいいはずなのに「人手不足倒産」が起きるワケ】
LINEは8月20日、こうしたスタンプの販売総額が、3カ月間で12億3000万円に上ったことを発表した。売上10位までの平均販売額は2230万円になるという。クリエイターズ・マーケットでは、売上額の約50%が作者に分配されるため、上位の人たちは1000万円以上を手に入れたことになる。
ネット上では、「そんなにもうかるのか!」「素直にうらやましい」という声がある一方、「税金はどうなるんだろ?」という質問を投げかける声もあった。LINEスタンプを販売して得た収入には、税金がかかるのだろうか。かかるとしたら、どのような手続きが必要なのだろうか。村上秀幸税理士に聞いた。
「儲かった場合には、原則として税金がかかります」
村上税理士はこう述べる。「儲かっている」と言えるのは、具体的にどの程度からだろう。
「サラリーマンなどの給与所得者が副業で行っている場合、スタンプの売り上げから必要経費を差し引いた額が『20万円』を超えるのであれば、所得税の『確定申告』をする必要があります。
本業がない専業主婦の方でも、年間で38万円以上の利益が出た場合には、やはり確定申告する必要があります」
必要経費として差し引けるのは、どんな出費だろう。
「スタンプを制作、販売するのに必要な出費ですね。具体的には、パソコンや、スタンプをデザインするためのソフト、ウェブデザインを学ぶための書籍などの購入費用が考えられます。また、インターネット接続などの通信費ですね」
「事業としてスタンプの制作販売を行っていく場合には、個人事業開業の届出書を税務署に提出して、あわせて青色申告承認申請書を提出したほうが、税金が有利になります」
具体的には、どういった点が有利になるのだろうか。
「いろいろな利点がありますが、代表的なところだと、まず、年65万円を上限に特別控除を受けることができます。
また、事業専従者の給与を必要経費に算入することができます。たとえば、家族にスタンプの制作を手伝ってもらって、それに給与報酬を支払った場合、その出費を必要経費とすることができます」
村上税理士はこのように述べていた。「LINEスタンプ」の制作・販売に挑戦したいと考えている人は、こうした税金のことも考えておいたほうがよさそうだ。
【取材協力税理士】
村上 秀幸(むらかみ・ひでゆき)税理士・公認会計士・中小企業診断士
大学卒業後、監査法人に就職し金融機関等の会計監査に従事。財務省福岡財務支局で金融証券検査官に2年間の期限付きで任官し、地銀や信金等の金融検査を行う。独立後は税務のほか、自己査定制度の知識を活かし、事業再生計画の立案などに従事。
事務所名 :村上秀幸税理士事務所
(税理士ドットコムトピックス)