欧州ラウンドも終わり、今年のF1も終盤に差し掛かって参りました。今週行われるのはシンガポールGP。大都市の中で行われる、ナイトレース決戦であります。
前戦イタリアGPは、今季の勢力図をそのまま反映したような結果で、メルセデスAMGが1-2位、ウイリアムズが3-4位、レッドブル5-6位となりました。今回のシンガポールGPも、同じような勢力図……とは、どうもいきそうにありません。初日フリー走行の結果を観る限り、今季一番の大混戦になる可能性が、非常に高そうなのです。
とはいえ、メルセデスAMGはここでも速そうです。フリー走行2回目のトップタイムは、ルイス・ハミルトン。ロングランのペースも良く、上位争いに加わるのは間違いないでしょう。対するチームメイトのニコ・ロズベルグは、ベストタイムこそ13番手でしたが、これはアタックラップ中にロータスのパストール・マルドナドがクラッシュしたために赤旗が掲示されてしまったから。ロングランを見ればハミルトンと遜色ないもので、タイトル争いはますます熾烈と言うことができそうです。
ただ、今回ばかりはレッドブルとフェラーリのペースも良く、メルセデスAMGを苦しめそうです。ここシンガポールは、モンツァやスパほどのパワーを必要としないサーキットであり、パワーユニットの完成度を最大の武器に強さを誇ってきたメルセデスAMGに、付け入る隙が生まれるからです。
FP2のベストタイムでハミルトンに次いで2番手だったのは、フェラーリのフェルナンド・アロンソ。彼らは1発のアタックラップも速く、それでいてロングランペースも良さそうに見えます。チームメイトのキミ・ライコネンも同様。しかもフェラーリは、アロンソにスーパーソフトタイヤを、ライコネンにソフトタイヤを履かせて、2種類のタイヤのロングランにおける性能比較を綿密に行っていたようです。その念入りな準備にも、今回のレースに賭ける意気込みを感じます。
長年組織を率いてきたルカ・ディ・モンテゼモロ氏の退任直後のグランプリに全力を……ということなのでしょうか? いずれにしても、メルセデスAMGを苦しめる存在になりそうです。ただ、デグラデーション(タイヤの劣化によるラップタイムへの影響)は、メルセデスAMGより少し大きいかもしれません。
レッドブルも好調です。セバスチャン・ベッテルは、FP1で発生したエンジントラブルの影響で、FP2は終盤の5周だけという形でしたが、その分ダニエル・リカルドがたっぷりと走行。メルセデスAMG同等のペースでロングランを敢行しました。デグラデーションの値も、メルセデスAMGとほとんど変わりません。
シンガポールGPの優勝は、この3チームによって争われることになりそう。フリー走行2回目のパフォーマンスがここまで接近するということは、今季これまでほとんどなかったことで、激戦になることを、どうしても期待してしまいます。
ここシンガポールは、ランオフエリアが狭い公道コースということも相まって、オーバーテイクが非常に難しいコースです。つまり、予選順位が非常に重要だということ。これら3チームの中で、ポールポジションを獲ったドライバーが、優勝に最も近づくことになるでしょう。ただ、クラッシュが多いためにセーフティカーの出動率が高く、そう簡単には行かないというのも事実ですが……。
前出の3チームに続くのは、マクラーレン、フォースインディア、トロロッソの3チーム。ロータスやザウバーもここに加わって、入賞争いも僅差で繰り広げられることになりそうです。
前戦3-4位のウイリアムズは、ここにようやく加われるかどうかというところでしょう。パワーや最高速をあまり必要としないシンガポールは、ウイリアムズに不向きと言われていましたが、ここまで後退してしまうということに、少々驚いています。チームやドライバーのバルテリ・ボッタスは、戦前ある程度の自信を見せていたはずなのですが……。
さて、本日の夜には、シンガポールGPの予選が行われます。前記したとおり、レースの行方を占うのに非常に重要な予選。メルセデスAMGに一矢報いるチームはあるのでしょうか?
(F1速報)