ドライバーが自身の判断でレースを戦うよう、F1においてチームからドライバーへの無線通信が制限されることになった。これに関し、ドライバーたちがそれぞれの意見を述べた。
ドライバーがチームからのアドバイスなしに自分自身の判断で走るようにするため、FIAはチームからドライバーへの無線の通信において、ドライバーやマシンのパフォーマンス向上に関する内容のものは禁止することを決定した。ただし、シンガポール木曜にチーム側から懸念の声が上がったため、禁止事項の一部が一時的に見直される可能性もある。
ドライバーの中でもこの規則変更に関して意見が分かれている。タイトルを争っているメルセデスのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグはこの規則変更を歓迎する発言を行い、ウイリアムズのフェリペ・マッサは、安全面で問題が出るかもしれないとして否定的な意見を述べたと広く報じられている。
その他のドライバーたちも以下のようにさまざまな意見を述べている。
■ジェンソン・バトン「ドライバーにとっていいこと」
「きちんと課題をこなしてレースに備えるのは僕らの仕事だ」
「タイヤにデグラデーションが起きると感じるなら、どのあたりでタイヤがそうなるのか、自分で分かっていなければならない。すべてマシンのセンサーに教えてもらうことはできないんだ」
「僕個人としては、ドライバーにとっていいことだと思う。あるコーナーでチームメイトの方が速いと言われたら、ブレーキングを5メートル遅らせてタイムを絞り出さなければならない……」
「課題はすべて(レース前に)終えていなければならない。自分自身で学習し、レースに備えたいと考えるべきなんだ」
■フェルナンド・アロンソ「結局はドライバーの仕事」
「サッカーやバスケットボールのコーチは(試合中に)選手に話すことはできない。ボールを操るのは選手自身だ。そしてクルマを走らせるのはドライバー自身だ」
「大きな影響はないと思う。FRIC禁止の時のようにメディアからの注目が集まっているが、あの時はレースリザルトへの影響はさほどなかった。今回も同じだと思う」
■キミ・ライコネン「元々あまり無線で話さないし……」
「僕の場合、何か問題がない限り、通常それほど無線で話をしない。それでもマシンに問題がある状態で完走を目指す場合、何かを変える必要があり、そうなるととても難しくなるかもしれない。そういう場合にこの規則がどう響くのかは分からない」
「僕らにとってはより難しい状況になるけれど、それもゲームの一部だから特に問題ない」
■セルジオ・ペレス「慣れればいい話だが、急な変更はよくない」
「突然次のレースから大きな変更をするなんて、あまりいいことだとは思わない。ある種の指示を(走行中に)受けられなくなるんだ」
「とはいえ、さほど大きな影響はないと思う。そんなに大問題ではないよ。僕らドライバーがそういうことに慣れればいい話だ。今回のレースで急に大きな変更が行われるが、それに慣れるのはそれほど大変なことではない」
■パルトール・マルドナド「いいことじゃないけど皆同じ条件だから……」
「今はシステムがとても複雑だから、あまりいいことじゃないね。でも皆が同じ条件なのだから、問題ないよ」
■ジャン-エリック・ベルニュ「今までも自分で決めてきた」
「僕はかまわないよ。これまでとそれほど変わらない」
「僕は自分の思いどおりにするのが好きだし、エンジニアに言われる前に自分でセッティングを変えるなんてことは、今年何度もやってきた。無線での会話が減るだろうけど、問題ない」
■エイドリアン・スーティル「問題なく対処できる」
「全く問題ない。すべて管理できるよ。仕事が増えるのは確かだけど、対処できる」
■セバスチャン・ベッテル「すべてをドライバーがやるのは難しい」
「コンポーネントを管理したり、パーツ同士の機能の仕方をコントロールするのは簡単ではないだろう」
「以前のKERSをうまく管理するような単純な話ではない。レースを通してチャージの状態を管理しなければならないので、(無線制限は)問題になり得る」
「だからこそガレージにこれだけ大勢のスタッフがいるんだ。必要がないなら彼らはここにいない。シンガポール、日本、オーストラリアなど世界中を飛び回り、ビールを飲んだりステーキを食べたりして楽しく過ごしてもらうために彼らを連れて来ているんじゃない」
■マーカス・エリクソン「ケータハムには少し不利かもしれない」
「このアイデアはいいと思う。ドライバーに焦点が置かれるようになるのはいいことだ」
「でも僕ら小規模チームは他より苦労することになるだろう。僕らのステアリングホイールのディスプレイはあまり大きくないんだ。大きなディスプレイを使っているチームもたくさんあって、そういう場合はたくさんの情報がそこに表示されるけれど、僕らのはすごく小さい。だから苦労すると思う。でも僕自身はこのアイデアには賛成だ」